マントルは液体?固体?

マントルと「○○スフィア」シリーズ / 2022-06-30T00:00:00.000Z

前回の記事においては、マントルは「液体のような固体」と表現しました。しかしこれはどのようなことなのでしょうか。

結論

  1. マントルは流体っぽい
  2. ○○スフィア/スフェアシリーズは固さで分けられている

マントルは結局どっちなの?

「固体」と「液体」。これは小学校や中学校で学んだであろう、物質の三相を示すために用意された言葉です。

しかしゼリーなどのゲル状の物質は「固体」と扱えない場合があります。他にも常温のガラスの多くは非晶質な固体という状態を取り、これは一般的な「固体」としても「液体」として扱うのも難しいものです。このようにきっぱりと三相に分類することは時として難しくなります。そしてこの分類しがたいものの一つに、マントルがあります。

地表には「鉱物学」という一つの分野がきちんと成立するくらい多種多様な鉱物が存在します。しかしマントル内に存在する鉱物の種類そのものはとても少ないと考えられており、橄欖岩(かんらん岩)が主体となっています。この少ない鉱物が圧力や温度の変化によって様々な組成を見せることがマントルの中の特徴といえます。

プルーム

マントルが対流していると聞いたことがあるかもしれません。これは鍋がぐつぐつしているのと同じように、核の近くで温められたマントルが地表に向かい、反対に沈み込んだ海洋プレートなどが底へと向かうという流れです。

このようにマントルは流体の姿を見せます。ただこの流れは(人間の時間感覚からしたら)非常に遅いものとなっているため、流れているとはいえ固体のようになっています。

リソ・アセノ・メソ

地球を輪切りにするとどんな感じになっているのかについて書いた記事では、「その層が何で出来ているのかという点と、その層がどれくらいカチコチなのかという点」で地球内部が区別されていると書かせていただきました。

これまでの記事では、何で出来ているのかで区別されているものについてそれなりに詳しく書かせていただいていたのですが、どれくらいカチコチなのかで区別されているものについてはあまり書いてきませんでした。そのため、ちょっとここで軽く触れておこうかと思います。

マントルの話の中に挟まれているため、カチコチ具合で区別されるものはマントルの中でのみ完結すると考えてしまうかもしれません。しかしこのカチコチ具合で判断するものは地殻まで含むということに注意が必要です。

メソスフェア

メソスフェアは一番地球の核に近い部分です。メソスフェアは非常に固体に近い物性を持っている上、マントルの大半を占めます。私がマントルが固体のような液体とあいまいな言い方を何回も行っている理由はこれが理由の一つです。

アセノスフェア

アセノスフェアは日本語で「岩流圏」とも呼ばれます。岩が流れると書かれるように、メソスフェアと比較して流動性が高いです。固体としてではなく、溶けている部分も存在します。

リソスフェア

リソスフェアは日本語で「岩石圏」とも呼ばれ、プレートテクトニクスという言葉でおなじみの「プレート」と領域的には重なります。しかし、プレートテクトニクスの考え方において「プレート」はカッチコチの剛体として考えられますが、リソスフェアはそれよりもちょっと柔らかい弾性体として扱われることが多いです。

関連リンク

あとがき

資料が不足しているため、分かる範囲内で書かせていただきました。機会があったら更新していこうかと思います。

次回: かんらん岩とは何ぞ

Writer

Osumi Akari

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