地球科学にとっても海洋科学にとっても、海の底に堆積した試料を採集することは非常に重要です。例えば日本ではJAMSTECが「ちきゅう」という海底掘削船が運用されており、ものすごくざっくり言えば、海底に中空のストローのようなものを突き刺して海底から試料を採集しています。
もちろんこのような船舶を持っているのは日本だけではなく、アメリカも保有しています。そのうちの一つ「JOIDES Resolution」が2024年に老朽化のため運航停止になる予定ですが、代替の計画無しの停止となってしまうことから、2028年まで運用を伸ばし、さらに代替船を確保するための署名活動が行われています。
詳しい事情はアンソニー・コッパーさんによる署名のお願いメール(PDFファイル)をご覧ください。
署名活動
本日2022/07/01までですが、
- 2028年までの運航延長
- ライザーレス掘削船を保有すること
についての署名が行われています。私も署名しましたが、署名時点(7月1日09:00 JST)では1460人の方が署名しています。
署名のお願い
取り敢えずですが署名ページに書かれている文言を急いで翻訳しました。原文が掲載されている署名ページはこちらです。
科学的海洋掘削は、国家と社会にとって基礎となる学際的な研究能力です。将来の科学的海洋掘削への継続的投資は、NSBの2030年ビジョンを支え、コミュニティが開発した2050年科学枠組を実現することを可能にします。科学枠組の戦略的目標と最重要イニシアチブを達成するためには、
- NSFはR/V JOIDES Resolutionが2024年10月から2028年まで運転を継続できるよう橋渡しプログラムを確立すること、
- NSFは米国が運転する新しいグローバルレンジングライザーレス掘削船をリースまたは取得すること
が不可欠です。
そのようにすることで、多分野にわたる膨大な新しい研究機会を生み出し、STEM分野の人材育成を強化し、データサイエンスや機械学習を含む多分野から多様な学生を集め、気候変動・海面上昇・地盤災害評価・炭素隔離・海の健康・沿岸回復力などの主要テーマについて米国の科学者や管理者、政策立案者に情報を提供することができるのです。
訳注
- NSB - National Science Board。合衆国の政府諮問機関。
- NSF - アメリカ国立科学財団。合衆国に所在する大学や研究所に対してお金配りをしている政府組織。
- ライザー - riser / drilling riser。地下を掘削する際にその場で発生した泥水を一旦船に上げ、成分調整をした上で再び掘削場所に戻して掘削を行うための装置。ライザーパイプとも。圧力を抑えたり掘削している場所の状態確認が可能。ライザーレス掘削はこの装置を用いないことで、海底からの掘削深度を犠牲にする代わりに、掘削船と海底までの距離が大きくても掘削できるようにする方法。
- 炭素隔離 - carbon sequestration。二酸化炭素が大気中に放出されないようにすること。
関連リンク
- JOIDES Resolution Drill Ship - 公式サイト
- PETITION - 署名ページ
- 米国の海洋科学掘削の継続に関する嘆願書(Petition)について - 日本地球掘削科学コンソーシアム
最後に
ギリギリにこんな記事を出して意味があるのかどうかわかりませんが取り敢えず出してみました。署名のご検討の方をお願いします。