前回の記事では、アイソスタシーのざっくりとした考え方について説明しました。今回は高校地学のテストに出がちな「アイソスタシーの計算」について、ざっくりと説明していこうかと思います。
結論
- (アイソスタシーに限ったことではないが)何を求められているかを明確に
- 問題文にない条件を確認する
具体例
正直、アイソスタシーとは何ぞやが分かっていれば、手間はそれなりにかかるもののそんなに難しくはない計算だとは思っています。しかしYahoo!知恵袋とかを見ていると、アイソスタシーの計算で悩んでいる人がそれなりにいるようなので、具体例を検討していきたいと思います。
具体例において特記なき場合、氷の密度を0.9g/cm^3、大陸地殻の密度を2.8g/cm^3、マントルの密度を3.3g/cm^3とします。
高さを求めるパターン
問題: かつてとある地域には3667mの氷床が形成されていた。この氷床が全て融解し、その地域がアイソスタシーを保とうと隆起する場合、最終的にこの地域は何メートル隆起するのか。ただしアイソスタシーを保とうするため以外の要因による隆起・沈降を考慮しないものとする。
この問題は、前回触れたスカンジナビア半島のように、画像の真ん中の状態から左の状態へと変化していく中でどれくらい隆起するのかを求める問題です。これはどのように解けばいいのでしょうか。
前回の記事では、「補償面での重さは等しい」としました。そのため、減った分を増やせばいいのです。つまり、隆起する際は浮力を保つために浮くだけではなく、何かが増えていると考えることもできます。もう一度画像を見てみましょう。
氷以外で残っている要素としては、地殻とマントルがあります。地殻の厚さは一朝一夕では大きく変化しないので、変わるものとしては基本的にはマントルです。つまり、氷の重さとマントルの重さが等しい状態で交換されると考えます。
つまり、氷とマントルの密度の逆比の高さが交換されると言えます。求めるマントルの高さをxメートルとして考えて見ましょう。問題の前提から、氷の密度と高さは0.9g/cm^3・3667メートル、マントルの密度と高さは3.3g/cm^3・xメートルというようになります。これが等しいので、
0.9 * 3667 == 3.3 * x
という風に表記することができます。式全体を3.3で割ることによってxを求めることができるのでその操作をするとx == 1000.09091
となり、隆起する高さは1000メートルとなります。
密度を求めるパターン
では上記の問題とは逆に、隆起した高さが分かっている場合からマントルの密度を求める問題を求めていきましょう。問題の前提となっているマントルの密度を分からないものとして、これを求めていきます。しかしやっていることはxの場所が変わるくらいなので、落ち着いて解けば全く難しいものではありません。
問題: かつてとある地域には3667mの氷床が形成されていた。この氷床が全て融解し、その地域がアイソスタシーを保とうと、1000m隆起した。さて、ここからマントルの密度はどのくらいであると考えられるか。ただしアイソスタシーを保とうするため以外の要因による隆起・沈降を考慮しないものとする。
先程と同様に、分からないものをxとして解いていきます。分かっているものは氷の密度と高さは0.9g/cm^3・3667メートル、マントルの密度と高さはxg/cm^3・1000メートルであるため、
0.9 * 3667 == x * 1000
となり、xは3.3となります。先程の問題を流用したのであまり驚きは無いであろう答えですね。
関連リンク
- 「アイソスタシー」物理地学の基礎。
最後に
以上、簡単にアイソスタシーの計算問題について触れました。何かの参考になれば幸いです。