プレートテクトニクスについて説明した記事において、沈み込み帯についてそれなりに詳しく説明しました。しかし「なぜ沈み込むのか」については曖昧な書き方をしています。これは沈み込むという考え方があまりにも自然に受け入れられて、「ざっくりわかる固体地球シリーズ」の想定読者である中学生~高校生についてわざわざ説明する必要がないこと。そしてこの議論で余計に混乱してほしくなかったということがあります。
しかし、固体地球についてある程度基礎的なことを書き終えつつある今、改めて考えてみると、なぜ沈み込むのかについて書いておくことは、ちょっと発展的なことに興味のある人にとっては有用であると思ったので、「なぜプレートは沈み込むのか」について書いていこうと思います。
ちなみに日本におけるプレートテクトニクスの受容のように、「ざっくりわかる」とは程遠いと思うので、興味のない人は飛ばしてください。というかAboutページで「ネットの海に流しておきたいと思ったものを取り敢えず置いておく」とすら表明しているこのサイトにおいて、興味のないものは見ない方がいいと思います。時間の無駄です。
では、見ていきましょう。
結論
- 冷える
- 重くなる
冷える
海嶺でプレートが生まれて来た時は基本的にあっつあつです。しかし出来たとたんに海水によって冷やされ、数千万年以上かけて海溝へとやってくるときには冷え切っています。基本的に物は冷えると比重が大きくなっていくため、生まれたときに比べてちょこっと比重が大きくなっています。
この時周囲のマントルよりも比重が大きくなっています。そのため、一度沈み始めると660km辺りまで塊(スラブ)として沈み込みます。
重くなる
こういった感じで重くなったプレート(地殻だけではない)は、別のプレートとぶつかった際に沈み込んでいくことがあります。最もプレート境界で常に海洋プレートが沈み込むということはなく、場合によってはそのまま盛り上がったりすることもあったりはします。
これは完全に余談ですが、上の図のように海洋プレートが沈み込む際に、若いプレートはその角度が浅く、年老いたプレートは角度が深いということが知られています。これはそれぞれ「チリ型」と「マリアナ型」と呼ばれ、巨大地震研究の歴史を追う上では重要なキーワードとなっています。
関連リンク
- 「沈み込むプレートのゆくえ」広島大学。
- Uyeda, S., and Kanamori, H. (1979), Back-arc opening and the mode of subduction, J. Geophys. Res., 84( B3), 1049– 1061, doi:10.1029/JB084iB03p01049.