「マグマ」という言葉は一般にかなり普及していると思うので、改めて詳しく説明はしませんが、溶岩は固体であるのに対し、マグマは液体です。要するにマグマは地球の内部で形成されるアッチッチな液体です。
このマグマがどのような方法で形成されるのか、代表的な3つの方法をざっくり見ていこうと思います。
結論
- 温める
- 温度そのまま圧力下がる
- 水を加えてゴールを動かす
融解曲線と部分溶融
それぞれについて触れる前に、絶対に確認しておかないといけないことがあります。それは(橄欖岩の)融解曲線です。
意外に知られていませんが、圧力によって融点というのは変化するので、地下深くの圧力の高い場所では地上とは異なる温度で橄欖岩は液体となります。この異なる温度を深さごとにプロットした図が「融解曲線」です。
上に示したものが本当にざっくりとした融解曲線の例です。意味わからない線がいっぱいあるかとは思いますが、絶対に分かっていてほしい点としては
- 赤色の線が大陸の地温変化
- 青色の線が海洋の地温変化
- 紅茶色の線は全部橄欖岩が融ける温度
という点です。特に最後の3本ある紅茶色の線については後々詳しく説明させていただきます。取り敢えず真ん中の紅茶色の線が基本です。
この3本ある理由のうち、一番右のものは「部分溶融」という考え方で説明できる…というか部分溶融の理解のために引いてあります。実は真ん中に引いてある線は一部が融け始める線(ソリダス)、一番右の線は全部が融ける線(リキダス)です。つまりその間の状態では、全部が融けているということではないものの、マグマが形成されるということになります。
ちなみに、この「一部が融ける」という話、安山岩質マグマの形成などでちょっとだけ結晶分化作用と関わりがあったりするので、調べてみても面白いかもしれません。
では、前提条件を話し終えたので、本題に戻っていこうと思います。
温める
先程示した融解曲線の図を再度見てみてください。実は真ん中の線(ソリダス)と赤青で表されている地温勾配は一切交わっていません。これが示す意味は特に何もなければマグマは生まれないということです。
この「何か」の一つとして考えられるのは「温めること」です。まあ融けないんだったら温めるのは当然という感じですよね。しかし、現実の問題としてどこかが突然温まるということは考えづらいものです。そのため、あくまで方法の一つとして覚えておく、くらいのものでしかありません。
圧力下がる
深さというものは圧力に直結しています。もし、温度が変わらずに縦方向だけ上に動かしてみると、融けるところと重なることが考えられますね。
これは温めるよりも現実味がある話で、この方法でマグマが発生している場所として「ホットスポット」があります。ホットスポットではマントルが急速に上昇していると考えられています。つまり「温度が変化せずに圧力が下がって」います。そのため、マグマが盛んに生成されることから、活発な火山活動が発生しています。
水を加えてゴールを動かす
詳しい話は次回にしようと思っているのですが、やはり意味ありげに引かれた紅茶色の一番左の線は気になっているでしょう。一番左の点線は水がある時は部分溶融し始める温度が変化するという性質から引かれた、「水がある時の」部分溶融し始める線です。
つまり、水があれば同じ圧力でもより低い温度でマグマが発生するということです。そして、その線は赤青線と交わるため…ということで詳しいことは明日の分で説明します。
参考文献
- 藤野滋弘、上松佐知子、池端慶、黒澤正紀、丸岡照幸、八木勇治編「改訂版 地球進化学」『地球学シリーズ』2、2020年、国立国会図書館書誌ID: 030248778、Open Library: OL38631320M、OCLC: 1145733096、NCID: BB29850890、ISBN: 978-4-772-25331-4。
関連リンク
- 「火山のでき方(2)マグマのでき方3選」地球科学の歩き方、2021年。
- 「マグマはどうしてできる?」九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門。
最後に
分割商法みたいになってしまったのですが、この記事単体で書くと長くなってしまったので分けました。次回分と合わせて、マグマがどうやって発生するのかの理解に役立てば幸いです。