マグマがなぜ上昇するのかということについて説明させていただきましたが、そこではマグマがある程度地表に近づくと周りと比重の差がなくなることからマグマだまりが形成されると説明しました。今回はそんなマグマだまりについてざっくり見ていこうかと思います。
結論
- 周りと比重が同じになる
- 地震波を用いて分布を明らかに
- 分化の現場になったりする
再確認
前回の記事で触れてみたことの再確認です。
そもそも液体であるマグマはどのように形成されるのかといえば、水を加えることでゴールポストを動かして、特定の深さになれば自動的に岩石が融けるようになっているからでした。そしてマグマは液体ですので、周りよりも比重が下がってしまったらば、浮力の関係でマグマの塊は地表近くへと上昇し始めます。そしてマグマの塊が周囲と同じ比重となると、上昇するのをやめてしまうという話です。
それではこのようにして形成された「マグマだまり」とはどのようなものかについてざっくり説明しようと思います。
地下を見る地震波
初めに、マグマだまりをどうやって地上にいる私たちが関知するのでしょうか。地表から10km程のところに形成されるとはいえ、街を歩いていたとしても「あー、この辺のマグマだまりはそこまででもないな~」と感じることはないでしょう。
実はマグマだまり(に限りませんが)、地表から数km~数百kmのオーダーで地球の内部を知るためには地震波トモグラフィーが用いられます。これは地球を輪切りにする記事から複数の記事で「地球の内部を見ているのは地震波!!!」と何度も繰り返してきましたが、それをもっとちゃんとした言い方をするとこうなります。グーテンベルク不連続面の話をしたときに出せばよかったですね。
詳しいことは次回の記事に回すとして、これは一つの震源からの地震波を多数の観測点で観測することを繰り返すことによって、地面の中での地震波速度の分布を知ることが可能となるものです。基本的に媒質が液体であることによって伝達速度は遅くなるという傾向があるので、地震波速度から地下に存在する液体の塊、すなわちマグマだまりの存在を知ることが可能となります。
分化の現場
このマグマだまりでは当然マグマがたまっていき、色々なことが起こります。その一つとして「マグマの結晶分化作用」というものがあります。
この詳細については以前の記事で触れさせていただいたのですが、要約すると冷えるにしたがって一部の成分が出ていき、マグマの中身が変わるという作用です。この作用が起こる場所としてマグマが一時的にとはいえ滞留するマグマだまりがあります。
関連リンク
- 藤井敏嗣「噴火の源・マグマとは?」
最後に
マグマだまりに供給されたマグマが何らかの原因で地表へと噴き出すことを噴火というのですが、そこに至るプロセスについては別の記事で触れたいと思います。
次回のざっくりわかる火山シリーズ: 地震波で撮る地球のCT、地震波トモグラフィー