2000年3月31日、北海道の有珠山の山麓からマグマ水蒸気噴火が発生しました。この噴火の影響により、国道230号線は通行不可となった他、火山泥流の影響で橋が二つ流されたり、多数の建築物に降灰したりといったことが起こりました。
しかしこれほどの噴火にもかかわらず、死傷者はいらっしゃいませんでした。これは事前避難によるもので、噴火の発生が予告されたことに伴う避難が適切に実施されたためです。噴火予知を行うことは非常に難しくまた多数の視点がありますが、今回はその一つとなる「噴火前に何が起きているのか」についてざっくり説明していこうと思います。
結論
- マグマがたまる
- マグマが上がる
- 地面が揺れたり膨らんだり
詳しく話す前に
「噴火」というワードが明らかに広すぎるので、全ての噴火には適用できませんがご了承ください。噴火の種類について概観する記事は明日出そうと思っていますので、そちらも合わせて参照していただければ幸いです。
たまる・あがる、マグマ。
「マグマだまり」というものが地下に形成されるということはご存じでしょうか。プレートの沈み込みによってマグマが継続的に生成されるのですが、それが比重の関係で地表へと近づいてゆき、一定のところで溜まってしまうことによって形成されます。
このマグマだまりというのは無限にマグマをためられる、便利な四次元ポケットではありません。そのためいくつかの要因でマグマだまりからマグマが地表へと向かうことがあります。この要因としては、
- 単純にマグマがいっぱいになり押し出される
- プレートの圧力を受けて捻り出される
- 液体の一部が気体になり激しく追い出される
といったことがあります。最後については極めて大規模なので多分別記事で詳しく取り上げるとは思うのであまり詳しくは書きませんが、上二つについてもそこまで詳しい説明は要らないでしょう。
地面を揺らす
そういったわけで地表へと近づいてきたマグマは、地表の私たちがその動きを知ることが出来ないというわけではありません。例えば、火山性地震ということを引き起こします。
「地震」と聞くとプレートや断層が引き起こすという印象が強いかもしれませんが、マグマが地表近くの地層に入り込むと、既にできている地層を破壊しながら入り込むことになりますので、地面を揺らします。この揺らし方はプレートなどによる地震と大きく異なるため、地震波を解析することで容易にマグマが動いたことを感知することが可能です。
マグマが地表に近づいてくるとその回数や規模が激しく増加するので、マグマの動き、そして噴火の前兆を知ることが可能となります。
他にもマグマが下から突き上げるようにして既存の火山にたどり着くと、マグマが山体を押すといった形になります。そのため山体膨張が火山性地震を伴って観測されます。この山体膨張はGPSなどを用いた継続観測を行うことで認知することが出来ます。
こういったことは冒頭に触れさせていただいた噴火予知に活用されています。