溶岩ドームとは何か

高い電子レンジに付いていそうな無駄機能の響きがする名前 / 2022-08-04T00:00:00.000Z

そろそろタイトルにひねりを入れる能力が無くなってきている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

今日からはしばらく話題が狭いと書きやすいし嵩増しもしやすいので、「噴火のタイプ」で紹介させていただいたワードの用語解説に近しいような記事を書いていこうかと思います。今回は「溶岩ドーム」についてざっくりと書いていこうかと思います。

結論

  1. ネットリしたマグマの冷えた跡
  2. ネットリマグマは大体被害大きめ

マグマと言っても

「溶岩ドーム」と聞くと「石窯ドーム」のように電子レンジに付加されている機能と思ってはいないでしょうか(私だけか?)。しかし溶岩ドームは人工のものではなく、主にマグマ噴火をしたことによって自然に形成されるものです。

マグマ噴火の概要を振り返ってみましょう。マグマ噴火は地上へとマグマが噴出すること、とざっくりとした定義ができます。すなわちマグマが地表へと流れ出ているということです。

そしてマグマと一口に言っても様々な内容物が含まれるように分化しているため、その内実にはかなりの差があります。基本的には二酸化ケイ素(SiO2)の濃度が高ければ高いほど粘度の高い、すなわちネットリ・カッチリとしたマグマとなります。

ウスターソースとマヨネーズ

恐らくこの記事を読んでいる人の大半がウスターソースとマヨネーズに触れたことがあると思うので、ウスターソースとマヨネーズを使った例えをしていきたいかと思います。ウスターソースを皿の上にのせると、まさしく「ダラー」といった擬音が似合うように広がっていきます。一方、マヨネーズを皿の上の乗せると、「ちょこん」と皿の上においてそれほど広がらずに残ります。

この差を生み出している原因は「粘度」です。二つの調味料の成分が異なっていることによって、粘度に大きな差ができることから、皿の上に載せたときの挙動が大きく異なっています。さて粘度に差があることによって形成されるものの形状が異なることが分かったと思いますので、本題について振り返ってみましょう。

ネットリマグマは栓になる

粘度によって皿に載せたときの挙動が大きく変わる調味料の例を出しました。もちろんこの例には意味があるので、例を現実のものに置き換えていきましょう。

要するに私が言いたかったのは、粘度によって地表へ出たときの挙動が大きく変わるマグマが存在する、というより全てのマグマがそうである、ということです。数段落前に私は「分化したマグマによって粘度に差がある」、「粘度はSiO2の濃度によって変化する」と書きました。つまり、SiO2の割合が高い流紋岩質マグマなどでは、地表へと出た際にマヨネーズのようになってしまうということです。

直感的にはマグマそのものが周辺へと流れないように聞こえるので、むしろ安全に聞こえるかもしれません。しかしながら必ずしもそうではありません。

しばらく使っていなかったマヨネーズが出口の近くで詰まって、一生懸命押したときにボンと大量に出てしまうことがあります。すなわち粘度が高いと基本的にはあまり出てこないが、出てきたときには爆発的に出てくるということが考えられます。この爆発的に出てくることは、お酒の封を外した時に内容物があふれ出てくるのと同じように壊滅的な被害をもたらしうるということです。この「お酒の封」が今回のテーマである「溶岩ドーム」みたいなものですね。

これに限らず火山災害の被害を一様に評価することは出来ませんが、往々にして溶岩ドームが形成されるような流紋岩質マグマが絡む噴火は大きな被害を生む傾向があります。さらに悪いことに、出てきたマグマの後ろの方が火口の近くにたまり、新たに封をすることや既存の溶岩ドームをより大きくしてしまうことがあります。

溶岩ドームの大きくなる方法には内成・外成の大きく分けて2種類のものがあります。「内成」は下からやってきたマグマが溶岩ドームを押し広げるようにして内側から溶岩ドームの一部となったものです。反対に「外成」は溶岩ドームの上からマグマが噴き出し、溶岩流となったものが溶岩ドームの上にかけられたものが固まることにより、溶岩ドームがさらに大きくなったものです。この区別は溶岩ドームの成長を考えるときに用いるものですが、念のため付記しておきます。

最後に

若干冗長な文章になってしまったと思いますがいかがでしょうか。珍しく早起きしてテンションが良かったのでノリノリで執筆していたら長い文章になってしまったという面が一つ、そして現実で教えてた際に「粘度によって挙動が変わる」ということの認識が難しかった人がある程度いたという面がもう一つあります。固まってしまったマグマ、すなわち溶岩を見て粘度の話をすることは私もナンセンスだなあ、と思っていたため、この記事ではウスターソースとマヨネーズの例を入れてみました。

この記事を読んで、溶岩ドームへの理解が深まれば幸いです。

Writer

Osumi Akari

Category