空洞が崩れてできるカルデラ

問題「スペイン語でなb/」 / 2022-08-05T00:00:00.000Z

「鍋」であったり「釜」というものは、抽象的に見れば真ん中が低くへこんでいる調理器具ということが出来るかと思います。この真ん中が低くへこんでいるという形状というものは自然界の中にもあり、その一つが今回紹介する「カルデラ」です。

結論

  1. クソデカ噴火の跡地
  2. 主にマグマだまりがすっからかんになって崩れる
  3. カルデラの中で噴火が続くことも

跡地

「カルデラ」という言葉を一度は聞いたことあるという前提で話を進めさせていただきますが、そもそも「カルデラ」とはどういった意味なのでしょうか。面倒な上に言語オタクにチクチクされたらたまったものではないので答えを出しますが、スペイン語のcaldera、すなわち「鍋」とか「釜」とかという意味があるらしいです。この「鍋」みたいな地形であるところのカルデラはどのように形成されたのかを見ていこうと思います。

「鍋」なカルデラを大きく成因で分けると以下の3つに分けることが可能です。

  1. 陥没カルデラ
  2. 馬蹄形カルデラ
  3. 侵食カルデラ

一番下の侵食カルデラの具体例は富山の立山カルデラくらいしか思いつかないので、そんなに詳しく説明はしません。ものすごくざっくり言うとしたらば、普通の火山の火口が雨風によって削られたことによって「鍋」チックな地形へと変化したものです。

本題に戻りましょう。有名なカルデラとしては阿蘇カルデラがあるでしょう。これは熊本県にある阿蘇山を中心としたものです。地理院地図を見ていただければ分かる通り、明瞭に「鍋」な地形が見られます。阿蘇カルデラは有名な陥没カルデラの一つです。

陥没カルデラの出来方

では阿蘇などの陥没カルデラはどのようにして形成されるのでしょうか。

マグマ噴火の概要

上に載せた画像は非常に大まかなマグマ噴火の概要です。何度も繰り返している通り、マグマ噴火ではマグマそのものが地表へと出てきます。もちろんマグマは無尽蔵に出てくるわけではないので、地表へと噴き出せなくなった時点で止まります。しかしその止まった時点でマグマが空っぽになってしまったらそのマグマだまりはどうなってしまうでしょうか。

マグマだまりの上に乗っかっている山は見た目は軽そうですが、実際はトンというレベルで語るものではない途方もない重さと体積を持っています。液体とはいえマグマだまりでその山を支えていたのですが、空っぽになってしまった途端に山が崩れてしまいます。崩れてしまった山はマグマだまりの跡地というかつてマグマが存在した空洞へと駆け込みます。こうすることによって、陥没カルデラが形成されます。

セントヘレンズ1980

1980年5月18日、アメリカの北西部に所在するセントヘレンズ山は大規模な噴火を起こしました。この噴火はかなりカッチリとしたマグマが関わるタイプであり、ハザードマップの有効さを示した噴火としても有名です。ここでは「アメリカの富士山」とまで称されたセントヘレンズ山の山頂部約500mが吹き飛んだという側面を主に見ていこうと思います。

セントヘレンズ山の噴火は、噴火の大きさを表す指標の一つで、噴出物の量から規模を示すVEI(火山爆発指数)の5というもので、これに対応している英単語は「paroxysmal」という絶望感があるレベルのものです。しかしながら山そのものは残ったので、阿蘇カルデラのような「鍋」は形成されなかったものの、山頂の近くに小さな「鍋」が作られました。このようにして形成された小さなカルデラのことを、馬の足のような形であることから馬蹄型カルデラといいます。

カルデラが出来たからと言って止まるわけがない火山活動

阿蘇カルデラの資料が豊かであることからついつい触れたくなってしまうので、また阿蘇カルデラについて書くのですが、阿蘇カルデラの真ん中の方には「阿蘇山」という立派な活火山があります。このようなカルデラが形成された後にまた作られた火山のことを「中央火口丘」と呼びます。

ちなみに中央火口丘と言いつつカルデラの真ん中にできないことも多々あります。例えば噴火以前について触れた記事で軽く話題にさせていただいた有珠山は「洞爺カルデラ」の中央火口丘であるものの、有珠山そのものはカルデラの外輪、つまり鍋で言うところの「淵」に所在しています。

最後に

以上簡単にカルデラというものを説明させていただきました。日本の様々な場所にはカルデラが所在しており、身近な火山地形である人も多いかと思います。そんな方の参考になれば幸いです。

次回のざっくりわかる火山シリーズ: 火山の形を手元で感じるモデル実験

Writer

Osumi Akari

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