「溶岩」という言葉は基本的に固体を指しますが、液体として流れるものを意味する時もあります。その代表例として、噴火した後地表を流れる「溶岩流」としての姿があります。今回はそんな溶岩流についてざっくり見ていこうかと思います。
今回は固まる前の「現象」としての溶岩流を主として見ていきたいと思います。固まった後のもの、すなわち「地形」としてのものも「溶岩流」と一般に言うので、その点は注意してくださいね。
結論
- 名前の通り、溶岩が地表を流れる
- シャバシャバマグマが多い場所で起こりやすい
- 適切に避難すれば命はどうにかなる
よく流れるシャバシャバ溶岩
溶岩「流」と名前がついているくらいなので、様々な種類がある溶岩の中でも基本的にはシャバシャバしたものが、噴火している場所から流れ出てきます。シャバシャバしているマグマというものは基本的にSiO2の濃度が低いものとなっており、溶岩ドームを作るようなマグマとは対照的です。
アメリカのNPSがハワイの溶岩流の映像をいい感じに撮影したものを公開しているので、それを見ながらゆっくりとお読みください。
繰り返しになりますが、溶岩というものは成分によって大きく粘度が変化するもので、上に示した動画はシャバシャバしたマグマの例ですね。そして上記の動画は溶岩流(とシャバシャバマグマが作る楯状火山)の代表例として挙げられることの多い、マウナケアやキラウェアのあるハワイのものです。
適切に避難
このハワイの火山は観光の一環として溶岩流を間近で見ることが行われるほど、よく溶岩流が発生します。つまり小規模な噴火が多数行われているということですね。
とはいっても溶岩流による被害が全くないということではありません。
例えば2018年には大規模な溶岩流が発生しており、家屋などが巻き込まれるという被害が発生しています。しかしながら適切に避難が行われた結果、人命の被害は最小限に抑えられています。
カッチリマグマでも流れたい
ちなみに「基本的に」シャバシャバしたマグマとしたのは、理論上カッチカチのマグマでも溶岩流は発生しうるということです。それ以上に様々な被害が大きすぎるため、見過ごされていると言ったほうが良いでしょう。
江戸時代に発生した「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる火山活動をご存知でしょうか。これは長崎県の雲仙岳の一部である眉山が山体崩壊を引き起こしたこと、そしてその崩れた山体の影響で対岸の熊本県に大津波をもたらしたことなどから全体で15000人以上の方がお亡くなりになられたという大規模な火山災害です。
しかしこの眉山の山体崩壊の前兆として後に「新焼溶岩流」と呼ばれる溶岩流が形成されました。この溶岩流というのは3か月かけて2.7km進んだのですが、その厚さは数十メートルに達するものでした。つまり粘性が高いがために流れはするものの、ものすごく分厚くなるということです。もちろんこの場合でも、適切に避難することは有効な対策です。
関連リンク
最後に
前回のざっくりわかる火山シリーズ: 火成岩は「火山岩+深成岩」
液体が流れるというあまりに当たり前すぎることを書いてみました。ちょっとしんどかったです。ちなみに「溶流」というめちゃくちゃそっくりな名前を持つ運搬作用の一形態があるので、興味があればご覧ください。