「火山砕屑物」というワードを聞いたことがあるでしょうか。まあ要するに火山灰だとかの総称なのですが、今回はそんな火山砕屑物が流れ落ちることによって発生する「火砕流」についてざっくり見ていきたいかと思います。
結論
- 噴火で降り注いだものがさらに流れる
- 数百度に達するものが100km/h越えでやってくることも
砕屑物
恐らくざっくりわかる地球科学シリーズが堆積システムとかまでたどり着いた時に詳しい記事を作るとは思いますが、「砕屑物」という大半の方に馴染みのないワードを初めに説明しておこうかと思います。
「砕屑物」という漢字を一字ずつ分解してみましょう。そうすると、「砕かれた屑みたいな物」となりますね。つまり元々一つの塊だったクソデカチーズから粉チーズが生まれた時、その粉チーズのことを砕屑物と呼ぶようなものです。
流れる火山砕屑物
それでは「火山砕屑物」というのは火山生まれの砕屑物ということです。この火山砕屑物は水蒸気噴火でもマグマ噴火でも発生するもので、基本的には溶岩を除く火山から出てきたものを指すと考えていただいても、このサイトを参照していいくらいのレベルであったら問題ないと思います。
この火山砕屑物として火山灰や軽石などが挙げられますが、これらは噴火口から出てきた後、その多くは当然ながら地表へと向かいます。こうして地表へと集まった火山砕屑物は安定であることもありますが、そんなこともないことも多々あります。
そしてこれらが同じく火口から出てきた水蒸気などの火山ガスと混ぜこぜになって山体を高速で降りてきてしまうというのがざっくりとした火砕流の定義です。ちなみに火山ガスの割合が多いものを特に「火砕サージ」と言ったりします。火砕流よりも乱流みが強い(それはそう)という特徴があります。
街がなくなる
ナポリタンが無いことで知られているイタリアの都市としてナポリが挙げられます。そのナポリの近くにはヴェスヴィオ火山という立派な火山があります。ナポリの写真を撮る時にはその港とセットで移されることも多い美しい山です。
しかしその火山は火山である以上牙をむくこともあり、火砕流によって西暦79年のとある日には一つの町を地中へとその住民ごと葬り去ってしまうこともありました。その町は「ポンペイ」と呼ばれていました。
この「火砕流」は「火山砕屑物が絡む流れ」という大きなカテゴリのような言葉です。そのためその火砕流の内実によってかなり特性が変化しますが、とにかく「熱くて速い」、という一言で表すことが出来ます。
ポンペイの場合は建物内に人だったものが保存されてしまっていることから察していただきたいのですが、逃げられない or 逃げても意味がないほどのスピードで火砕流がやってきます。もし火砕流に出くわしたらば…その時は火砕流の中にいなくなるように全力で逃げてください。としか言えません。
とはいえ溶岩流よりは分かりづらいものの派手な火山活動に付き物なものではあるので、消防などの制止を振り切って取材をするなどをしなければ基本的に避けることが可能です。その行為に学術的な意味が無ければ避けてほしいなとは思います。
参考文献
- 佐野弘好 『基礎地質学ノート』古今書院、東京、2019年6月6日。ISBN 978-4-7722-3191-6。 NCID BB28302674。OCLC 1109731739。OL 31934583M 国立国会図書館書誌ID:029674063 全国書誌番号:23233011。
関連リンク
- 小森長生「火砕流(用語解説)」『地球科学』第45巻5号、1991年、369-371ページ、ISSN: 2189-7212、DOI: 10.15080/agcjchikyukagaku.45.5_369。
- 石川芳治「火砕流の流動・堆積実験」『ながれ』第11巻4号、1992年、231-244ページ、ISSN: 2185-4912、DOI: 10.11426/nagare1982.11.231。
- "Pyroclastic Flow" National Geographic
- "Pyroclastic flows" BBC2 Horizon
最後に
- 次回のざっくりわかる火山シリーズ: プレートや断層によるものとメカニズムが違う火山性地震
- 次回のざっくりわかる防災シリーズ: 土石流と火山泥流は何が違うのか
個人的に書いていて重い気持ちになってきたので、言い切っていない中途半端な文章になってしまっている点もあります。申し訳ないです。