テフラ(火山砕屑物)とは何か

溶岩以外の火山から出る固体チックなやつ / 2022-08-21T00:00:00.000Z

火砕流の話火山泥流の話でちょくちょく出てきた「火山砕屑物/テフラ」についてざっくり解説していこうかなと思います。

といっても火砕流のくだりでそれなりに話してしまっているので、内容的には結構かぶると思います。

結論

  1. 火山活動生まれの砕屑物
  2. 火山灰とか火山岩塊とか

火山砕屑物とは

砕屑物という単語を人間としての生活で見たことがないのですが、皆さんはあるでしょうか。友人に聞いたところ私と同じであったので、きっとn=n+1でも成立することからきっとこのページをご覧いただいている皆様にもその経験はないでしょう。

冗談はさておき、普通に砕屑物とは何かについて説明していこうかと思います。「砕屑物」という漢字を一字ずつ分解してみると、「かれたみたいな」となりますよね。辞書的に言えば、「砕屑物」とは「塊であった岩などから風化などを受けて、細かくなった物」といえます。

火山砕屑物へ

火山砕屑物というのは大まかに言えばこの砕屑物のうち、火山活動によって生まれたものです。水蒸気噴火においてもマグマ噴火においても、元々穴がポッカリ空いているところから何も無しにマグマが流れ出てくるものはないことから何かしらの砕屑物は生まれます。重要なのはマグマ・溶岩そのものでは無いということが挙げられます。

この火山砕屑物というのは噴火を考える上で、当然ながら非常に重要なものの一つで、細かく分類されています。この分類というのは基本的にその砕屑物の粒径などによって行われており、リストにするとこんな感じです。

  • 粒径による分類
    • 火山灰 - 粒径2mm以下
    • 火山礫 - 粒径64mm - 2mm
    • 火山岩塊 - 粒径64mm以上
  • 色や成分による分類(砕屑物として扱われないこともありますが)
    • スコリア
    • 軽石

粒径によって行われているとか言いながら早速そうじゃない分類が出てきた申し訳ないのですが、取り敢えずまずは粒径による分類について説明させていただきたいと思います。

灰・礫・岩塊

「火山灰」という単語はよく聞かれるかもしれませんが、残りの「火山礫」と「火山岩塊」という単語はあまり聞かれないものだとは思います。とはいえ大きさが違うだけということになっているのでそこまで違和感はないでしょう。

当然ながら火山灰が基本的に一番風によって運ばれやすく、火山礫や火山岩塊は噴火のあった火山付近へと積もる傾向が強いです。また積もる量については風の影響を受ける面も非常に大きいですが、基本的に火山から遠のくにつれて少なくなっていくという傾向があります。

砕屑物の大きさというものはこの火山砕屑物に限らず、一般的な砕屑物でも2のn乗が絡む大きさで分類されています。この分類というのはウェントウォース(Wentworth)さんによって作られたものです。ちなみに一般的な砕屑物での礫砂境界と同じ場所に火山灰と火山礫の境界が設けられている他、「火山灰」の中でも砂泥境界に合わせて区別を行い、「火山砂」と「細粒火山灰」に分類することもあります。

軽い重い

粒径によって分類するものの他に、その見た目であったり重さであったりで分類する方法があります。これは先程の分類とは別建てのものであると考えたほうがいいかもしれません。この分類に入っているものは、その形や重さ・形成経緯が特徴的なので入っていると見なした方が良いということですね。ここでは有名なものを2つばかり紹介させていただこうかと思います。

まず初めに「スコリア」というものです。個人的にはすごい美味しそうなトウモロコシ系のボリボリ食べられるお菓子のような響きだと思うのですがどうでしょうか。このスコリアというものはマグマが地上へ上がってゆく際、圧力が減少することから水蒸気などの気泡が発生し少し歯抜けになった状態のマグマが地表へ出たことによって急激に冷やされてできるものです。

つまりサイズと比較して少し軽い上に表面がちょこっと泡泡しているものということですね。このスコリアというものは降り積もることによってスコリア丘(きゅう)を形成する他、火砕流へと混じることもあったりします。

続いて紹介させていただくのは「軽石」と呼ばれるものです。この軽石は先程のスコリアと似たような理由で形成されるのですが、この際に「少し歯抜け」どころではなく派手に発泡してしまった際に作られます。スコリアとの区別は必ずしも明確ではありませんが、比較的白いものを軽石という印象が強いです。軽石というものは文字通り「軽い石」であり、水に浮いてしまうものも多数存在します。用途が全くないというわけではなく、断熱材や遮音材として用いられることもあります。さらには「鹿沼土」と呼ばれるものは、通気性に優れていることから土壌改良材として用いられていることもあります。

火山から出てきたものにしては珍しく、水に浮いてしまうからこその問題もあります。2021年8月に「福徳岡ノ場」と呼ばれる、小笠原諸島のとあるカルデラ内に存在する海底火山において、軽石が大量に形成される噴火が発生しました。噴火そのものによる被害は全くといっていいほど存在しなかったのですが、軽石が水に浮き海流に乗ってしまったことから、その軽石が日本の太平洋沿岸地域へと漂着する事態が発生してしまいました。

軽石が漂着してしまうことによって接岸・出港の妨害や船舶のエンジンを傷つけてしまうといった被害が出たこと、またこれの可能性が極めて高いことから定期航路の運航停止が行われてしまうことなどが起きました。

関連文献

  • 天野一男、秋山雅彦 著、日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会 編 『フィールドジオロジー入門』 1巻、共立出版〈フィールドジオロジー〉、2004年。ISBN 978-4-320-04681-8。 NCID BA66873107。OCLC 61181118。OL 30402958M 国立国会図書館書誌ID:000007329920 全国書誌番号:20585031

最後に

以上、火山砕屑物を概観させていただきました。次回は「テフラ」という言葉が含まれていながら指すものがかなり限定される「広域テフラ」についてざっくりと書いていきたいかと思います。

Writer

Osumi Akari

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