「アメリカへイギリス陸軍が独立記念日に贈った動画」として知られる画像について、Twitter摂取を日頃から心がけている皆様なら一度は見たことあるかもしれません。その元ネタをきちんと見たことがないので少し調べてみました。
結論
- 2020年にイギリス陸軍公式がSNSへ投稿した動画
- "First at all. You sink (it?) in a mag, not in a harbour."
- アメリカではレンチン紅茶を作ることへの対抗要素も
動画について
件の動画はフェイク動画でも適当な内容の字幕を勝手につけられたものでもなく、きちんとイギリス陸軍が公式に出しているものに対して適切な訳が付けられている物だということを初めに明言しておきましょう。
この手のミームはそれっぽい素材にいい感じのセリフをはめ込むことが多いの(「なるほど、シベリア送りだ」とか)ですが、これについては真正(?)な物だったようです。
not in a harbour
「まずはマグカップにお茶を入れます。港ではありません。」という訳文がついていることが多いのですが、元の表現を見ていきましょう。
"First at all. You sink (it?) in a mag, not in a harbour."
こんな感じのことを言っているように聞こえました。ティーバッグを示しながら言っているので多分itと言っているとは思いますが、あんまり自信はないです。とはいえ解釈に大きな問題がないと信じて進めましょう。信じる者は掬われると言いますしね。
あえて直訳するのならば、「では手始めに。マグカップにティーバッグを入れましょう、港ではなくね。」という感じでしょうか。先述の翻訳と大差ありません。この記事を読んでいるような人の多くは分かっているとは思いますが、明らかにボストン茶会事件(The Boston Tea Party)を意識している言葉ですね。事件直後は「歴史的大イベント」という程の扱いではなかったらしいですが、現在ではアメリカ独立戦争へと至る大きな事件の一つとして認識されている物ですね。
個人的には「in the pot(これだと鍋になるか), not the port」と韻を踏んでいてくだされば楽しそうだなと思っていたのですが、残念ながらそうではありませんでした。ところでportとharborの違いを明確に気にしたことがなかったので軽く調べてみると以下のような違いがありました。
port - a town or city with a harbour, especially one where ships load and unload goods
Definition of port noun from the Oxford Advanced Learner's Dictionary
harbour - an area of water on the coast, protected from the open sea by strong walls, where ships can shelter
Definition of harbour noun from the Oxford Advanced Learner's Dictionary
portの説明でひっくり返りそうになったのですが、この2つの説明をどうにか解釈すると以下のようなことが言えるのではないかと思います。
- "port"は荷物の積み下ろしができることを重視
- "harbor"は雨風を避けるという機能を重視
またボストンにおいてボストン港がどのように呼称されているかも調べたのですが、基本的に「Boston Harbor」と呼称されている例(NOAAの海図・massportの案内)が多数見つかりました。それもあって動画内では「harbour」を使用したのではないかなと思います。
not a microwave
"not in a harbour"の発言の前にはイギリス陸軍流の紅茶を入れるために用いる物の紹介がなされているのですが、ここの件も結構面白かったのでメモしておこうかなと思います。
動画内ではカット編集を気持ちよく用いて、紅茶作りに必要なものを列挙しています。
teabag, mag, milk, a spoon, sugar, and a kettle, not a microwave
そして必要なものは「やかんを用意してください。電子レンジではなく。」という風な感じでしめられています。ではなぜわざわざ電子レンジに言及したのでしょうか。のりものニュースによれば、実は2020年にアメリカ在住の方がTikTokへと電子レンジを用いた紅茶の作り方をアップロードしたことがきっかけとのこと。
Direct link of this video on YouTube
上に載せた動画は乱れがあるものの、アメリカンな(?)電子レンジによる紅茶の作り方に対してイギリス関係者が発した反応をまとめたものです。イギリスには強い紅茶文化があることを改めて感じることが出来ますね。
関連リンク
最後に
元々自分向けのメモだったものを記事ストックが減少傾向にあるので無理やり記事の形にしたものです。そのため若干投げやりなところはありますがご了承ください。