燃えないこともある火山ガス

gasは英語で「気体」なので気体なら全部gas / 2022-09-06T00:00:00.000Z

「ガス」と聞いた際には、コンロで「チチチチチチッ…ポッ!」っと火を付ける際に使う燃料を想像する人が多いかもしれません。しかしながら英語の「gas」を辞書で引いてみると、

[countable, uncountable] any substance like air that is neither a solid nor a liquid, for example hydrogen or oxygen

Definition of gas noun from the Oxford Advanced Learner's Dictionary

と出てきます。つまり日本語でいうところの「気体」が丸ごと「gas」に含まれていると言っていいでしょう。そのため日本語で「○○ガス」と言った際に、それが指しているものは燃えるとは限りません。例えば「温室効果ガス(greenhouse gas)」とされるメタンは燃えますが、同じく温室効果ガスである二酸化炭素は燃えません。

このことを前提にした上で「火山ガス」という言葉を考えていきましょう。

結論

  1. 火山噴出物のうち気体なもの
  2. 水蒸気とか二酸化硫黄とか

火山から出るやつのうち気体なもの

前回でも軽く触れさせていただきましたが、火山噴出物とは「火山活動によって噴き出たものの総称」です。しかしながらこれまで扱ってきたものは基本的に固体で、例外的に溶岩が液体でした。噴火は基本的にアッチッチな現象で、そうじゃなきゃ火砕流が数百度になりませんよね。そんな温度で気体がない方がおかしいと思っているかもしれません。

ご都合主義なのでそういう人々ばっかりだということで話を進めさせていただきますが、実は火山から噴き出てくるものには気体があります。これが今回お話させていただく火山ガスです。

え?冒頭の話と似たようなことを繰り返しているだけだって? うるさいな

色々な中身

火山砕屑物でさえ様々なものがあるので、当然ながら火山ガスにも様々な種類、色々な中身があります。ここでは有名なものをざっくりと概観していきましょう。

水蒸気

意外に知られていませんが、水は100度になることによって気体となります。水蒸気噴火という言葉がある通り地下水が水蒸気となる他、沈み込み帯でのマグマの形成で軽く触れさせていただいた通りマグマ中にも水分が含まれていることがあり、その水もまた水蒸気となるといった感じです。

二酸化炭素

二酸化炭素はありふれている気体であるとはいえ、その濃度が高くなると危険になることがあります。例えばカメルーンにあるニオス湖という場所では1986年に突然湖水が泡立ち、そこから出てきた気体によって周辺に住んでいた村の住人の約99.5%がお亡くなりになったという出来事がありました。

これは「湖水爆発」と呼ばれている現象です。滅多に起こることは無い現象ですが、火山ガスが絡む出来事なので混ぜこんでみました。

危ないやつ

上に示した2つは通常は有毒とみなされることは少ないのですが、火山ガスというのは往々にして危険な気体を含んでいることがあります。箱根の大涌谷付近が火山性地震などの発生による火口周辺規制のため立ち入り制限を受けたというニュースは記憶に新しいかとは思いますが、このカルデラである大涌谷では二酸化硫黄を主体とした有毒な火山ガスが常時発生しており、過去には死亡事故も発生しています。

さらに危ない響きの場所も日本にはあり、その名も「有毒温泉」というものが北海道の大雪山に存在しています。噴出口からお湯と気体が混ざって出てきているのですが、その成分に硫化水素が含まれているため迷い込んでしまった野生動物はもちろん、人間も定期的にお亡くなりになってしまう温泉です。

参考文献

関連リンク

  • Volcanic Gases - Michigan Technological University Department of Geological and Mining Engineering and Sciences

最後に

ざっくりしたカテゴリの用語を扱っているのに毎回その扱いが難しいなと考えてしまっているの、マッチポンプの域を超えているのではと最近思っています。つらみ。

書く場所が思いつかなかったので最後に持ってきましたが、このような火山ガスは基本的に空気よりも比重が大きいものが多いため、救助も難しいものとなってしまいがちです。そのため基本的に火山ガスが発生している場所(というか地表で分かるくらいの活動をしている場所)にはむやみに近づかないようにしましょう。

Writer

Osumi Akari

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