近年、スマホがただの高画質な「ネットワーク機能付きカメラ」となってしまっていることが指摘されています。写真を撮るにはちょっとまだ微妙なのですが、ドリーズームとかをしない限り普通の映像を撮るには強力な手ぶれ補正が付いているので(これは本心で)めちゃくちゃ撮りやすいと思っています。
また明るさや彩度が足りなければ後から足せばいいというカス思考を持ち合わせることで、自分が満足するくらいでいいレベルの映像なら簡単な気持ちで撮影することが可能です。
というわけでカス思考とスマホを持っている私は、FFmpegを使って適当に撮った藤棚をオシャレに見せかけようと努力してみました。本当に3秒で思いつき2分で撮影し30分で加工したのでゴミクオリティなのですが記事ストックがないので許してください。
結論
- いい感じにはなった
- FFmpeg、やっぱり楽しい
撮影
前回の記事で薄々気が付いているとは思いますが、同じ日に三渓園へ訪れたんですよね。そこの正門近くには大きな池と藤棚があるんですよね。最近のiPhoneには4K24fpsで撮影する機能があるので、大きな池に反射した太陽光が入り込む藤棚をいい感じにゆっくり歩きました。90秒くらい撮影したらば飽きてきたのでそこで動画を切りました。
加工
Lightningケーブル経由でちんたらとデータを吸い出し、以下のコマンドを入れました。音声をわざわざ別コマンドで入れているのは、はっきり言えばこうやって遊ぼうと思った時にYouTubeへアップロードする気がないまま進めたからですね。
ffmpeg -i IMG_1729.mov -an -vf hue=h=0:s=1.3:b=-1
\ -bsf:v hevc_metadata=colour_primaries=9:transfer_characteristics=18:matrix_coefficients=9
\ -c:v hevc_qsv -tune film -qmin 18 -q 22 -preset slower output.mkv
ffmpeg -i output.mkv -i "魔王魂 ヒーリング17.m4a" -to 00:01:43 -c:v copy
\ -af volume=0.3,afade=t=in:st=1:d=10 -c:a aac output_a.mkv
使ったコマンドをめちゃくちゃざっくり紹介していこうかと思います。
hue
hueフィルターは映像の色相・彩度・輝度をYUVベースで変更するものです。これを書いていて気づいたのですがRGBベースのhuesaturation
フィルターを使ったほうが良かった可能性が微妙にある気がします。輝度は当然ながらhuesaturation
ではいじれない物の、私が使用したhue=h=0:s=1.3:b=-1
は
- 色相の変更 == 0度
- 彩度の指定 == 1.3(1が元々)
- 輝度の指定 == -1(0が元々)
という感じで、彩度を上げて画面全体がまぶしくなったことをどうにかするために輝度を下げる、というだけの処理でした。そのためeq=brightness
を併用してhuesaturation
を使用したほうが良かったのかもしれません。面倒なので今回はしませんが。
bsf:v hevc_metadata
人類がbsfオプションを触ることはめったにないと思います。少なくともFFmpegのライトユーザーである私は初めて触りました。
このオプションは「ビットストリームフィルタ」の略で、流れてくるメディアに色付けをするようなフィルタというイメージが一番いいと思います。詳しい話は皆さん御用達のニコラボさんの「ビットストリームフィルタのまとめ」という記事をご覧ください。
元々の動画がBT.709、つまり普段扱っている8bitのRGBとほぼ同じ色域で表現されているものでした。しかしながら彩度や輝度をいじることで潰れてしまうことや、どうせならオシャレにしたいことから、BT.2020の色域に対応したHEVCの動画にすることにしました。
hevc_metadata=colour_primaries=9
\ :transfer_characteristics=18
\ :matrix_coefficients=9
上に挙げた設定をすることで、PQ形式かつBT.2020で出すような設定をしました。
volume=0.3,afade=t=in:st=1:d=10
GitHubで管理しているサイトに動画を直接載っけるのはさすがに無謀だと思ったのでYouTubeへとアップロードすることにしたのですが、さすがに音楽がないと耐えられない人も多いと思うんですよね。なので最近CC BY 4.0でも使えることに気づいた魔王魂さんのサイトからいい感じのBGMをいただいてくることにしました。
取り敢えず自然を映した動画は「【BGM】落ち着く自然とヒーリング音楽2時間」みたいなタイトルを付けて投稿すれば再生時間を稼げることは知っているのですが、さすがにそんなことはしたくないのでヒーリング音楽を付けるくらいで留めることにしました。ヒーリングカテゴリに掲載されている音楽を上から聞いていったのですが、最初に聞いた「ヒーリング17」がめちゃくちゃ良かったのでこちらを使わせていただくことにしました。
さすがにそのままつけると「ASMRを聞いている時に登場する楽天カードマン」に対する気持ちと同じものを視聴者に抱かれると思ったので、volume=0.3
で音量を元の30%に抑え、afade=t=in:st=1:d=10
でフェードイン・フェードアウトを付けておきました。
完成品
というわけで完成品はこちらです。
Direct link of this video on YouTube
元の動画をそのまま上げるのすら面倒だったので、1コマをここに挙げておきます。
どんな変化が生まれたのか、少しは伝わるでしょうか…?
最後に
前回のFFmpeg関連の記事: 2つの画像を並べた画像をFFmpegで作る
YouTubeにアップロードからして気づいたのですがafade
フィルタ、元の音声の後ろ10秒でフェードアウトしてしまっている気がする。悲しい。