「スパチャ」、投げたことありますか?
幸か不幸か、私は1回スパチャを投げたらば無限に投げそうな性格をしてしまっているため、逆にGoogleに一切の支払情報を紐づけないことにより、いくら推しの配信者が良い配信をしていようがスパチャを投げない(投げられない)という形で理性を保っています。えぇ。
とはいえ有名な話ではありますが、スパチャの全額が配信者の方へ渡るわけではありません。約30%がYouTubeに手数料として差し引かれ、さらに送金手数料などをまた差し引いた額が渡ります。もちろんYouTubeとYouTuberの貴重な収入源であることは理解していますし拒否しているというわけではないのですが、自分のコンテンツに引き寄せられてきてお金を渡してくれたのに全額がコンテンツ作成者に渡らないのはちょっと嫌ですよね。
さらにはこのサイトの所有者である私のような「既存のブログサービスに乗っかってコンテンツを提供するのが嫌」というただの逆張りオタクにとって、贈与を受けるだけでわざわざ本名を晒すか手数料をふんだくられることは最大の屈辱に近しいものでしょう。そのため受け取る側が匿名であり、かつ手数料がそこまで高くない送金サービスについて考えてみました。
結論
- 悪い者たちに悪用されかねない
- 匿名性を維持することが難しい
悪い者たち
最初に記しておきますが、私は残念ながら弁護士でも税理士でもないので、ここに書いてある解釈などに誤りがある可能性があります。もちろんここに書いてあることについて一切の責任を取りませんし、この記事を読んだことによって起きた損害等についても一切の責任を負いません。またここに書いてある事柄の全ては現実に起きている問題に対するアドバイスではなく、単なる一般の問題に対する私見であることを明記しておきます。
さて初めにこういった贈与を受ける際に使用するサービスに関係する主な法律を考えてみましょう。
「銀行法」・「資金決済法」はそれなりに想定がつくような名前の法律ですが、「犯罪収益移転防止法」はあまりなじみがないのではないでしょうか。これは贈与が資金洗浄スキームに用いられることが多々あることなどから金融機関等に対してそういった資産の移動についてチェックが義務付けられていることに由来するものです。
つまり資金洗浄をする悪い者たちなどのせいでこういったカンパがめちゃくちゃ面倒になってしまっているということです。どれくらい面倒になっているのかについては下にある文章の量から察してください。
銀行振り込み
世の中で送金を行うとき、真っ先に思いつくのは銀行振り込みでしょう。しかし銀行振り込みを行ったことがある人は分かると思うのですが、受け取る方は全然匿名性無いんですよね。つまり例え私が銀行と口座番号だけを公開したところで、ATMの画面には堂々と私の本名が出てしまうということです。そのため「受け取る側が匿名」という条件を満たしません。悲しい。
ゆうちょ振替口座
ゆうちょ銀行には郵便貯金時代から引き継いだシステムの一つとして「振替口座」というものがあります。これは基本的に法人以外にも適用可能な送金・出金が関係する決済向けに作ることが出来る口座です。基本的に個人として作る場合は当然ながら本名で作成するのですが、人格なき社団(自治会とか)として作成する場合は団体名を用いることが出来ます。これは便利に使える可能性はありますね。
ところが「団体(人格なき社団)名義の口座を開設されるお客さまへ」というページを見ると、「団体としての組織を備えていること」が求められています。明らかに団体ではないので開設できませんね。これについてはゆうちょが正しい。
屋号
税務署へ「開業届」を提出することによって、自然人は個人事業主となることが出来ます。(法人の方は法人三税に含まれて影が微妙に薄い)事業税という税金が存在するというデメリットはありますが、この事業税は年間290万円以下の事業所得ならばかからないので、明らかにこのサイトレベルでは問題にはならないでしょう。
個人事業主になることのメリットの一つとして「屋号」を用いることが可能となる点があります。もちろんこの屋号は本名と関係なしに付けることが可能なのである意味匿名性があると言えます。しかしながら銀行口座を作成するときには「屋号+本名」という名義で作る必要性があります。そのため銀行振り込みの項で触れたとおり受け取るサイドの匿名性がないと言えます。開業届出さなくてもよくてよかった。
PayPalビジネスアカウント
日本ではあまりメジャーではありませんが、アメリカにはPayPalというサービスが存在します。このサービスは国境を越えて金銭のやり取りが可能であることからECサイトなどでよく使用されています。
PayPal上でのアカウントは2種類あり、個人向けアカウントとビジネスアカウントの2つが存在します。ビジネスアカウントは個人用ではないように聞こえますが、実は個人でビジネスをするなら普通にアカウントを作成して料金の受け取りに使用することが出来ます。
しかしながらそこまで至る過程が非常に面倒でかつ時間がかかるものとなっているため今回は見送らせていただきました。将来的にカンパの受け取り方法として開放するかもしれません。
Stripe
決済機能というのはリアルマネーが絡んでくることから極めてセキュリティ要件が厳しくなっていることが多く、気軽に自力で開発してくっつけることは現実的に不可能となっています。しかし決済機能について強力なAPIを持っていてかつセキュリティがしっかりしているようなサービスがあれば話は別です。そんなサービスの一つとして「Stripe」というものがあります。
ありがたいことに公式FAQ上には「Stripe で寄付を受けるには」というページがあります。そこに書いてある内容を読み解くと「チップや寄付の受け付けの関する要件」を満たせば、同社のPaymentsを用いてチップや寄付を受け取ることが出来るようです。
地域別の制限
日本: Stripe は個人に対する寄付をサポートできません。また、すべての寄付 (ビジネスや慈善団体に対するものを含む) は、支払人と受取人の間の贈与または寄付の合意の下で行われる必要があります
解散!!!
pring公式アカウント
pringという送金サービスが日本に存在します。大昔に手数料関係を大幅に改訂したことで話題になった記憶しかないのですが、このサービスはやたらオタクくんたちの需要を分かっているんですよね。公式サイトに堂々と「サブアカウント」を作ることが出来るとか書いてあります。
このサービスには「エールを円に」というストレート過ぎる売り文句が掲載されている「公式アカウント」という機能があります。大変ありがたいことにサブアカウントから公式アカウントの作成が可能で、私だったら絶対に使わない投稿機能やライブ配信機能がついてきます。皆さんの応援や罵詈雑言などと共にお金をもらえるサービスで、サブアカウントしか露出しないこと、そして手数料は9.5%と良心的です。そのためpringから一切広告費用をもらっていないのですが、普通におすすめできます。
というわけで公式アカウントを作ったのでお金ください。
仮想通貨
2年位前からゲーマーの人々の怨念が大量に投げつけられているものとして「仮想通貨/暗号通貨」というものがあります。Web3についてあのインプレスからすら胡散臭い解説本が出て回収の騒ぎになるくらい浮ついている感じしかしないのですが、昔からTwitterにいる「脱サラして年収○○万/FIRE応援のためいい情報をシェア/月500円サロン運営中」みたいなプロフを持つ怪しい人々にはいまだに大人気です。
個人的にはビットコインキャッシュが生まれた辺りから追っているので、技術的には単純に興味があります。手元でlolmineを用いてETCをマイニングしたこともありますし。とはいえ現状日本円に変えられる取引所に私が口座を持っていないこと、日本円ですら怪しくなってきているのに値動きが実用的な通貨とは思えないほど激しいこと、ETHのParisアップデートが控えていることから検討からは外しました。
しかしながら将来的にもっと仮想通貨周りがまともになったら検討してもいいかなとは思っています。
追記: 「イーサリアムで贈与を受け付けるようにした」にある通りETHによる受け取りを始めさせていただきました。詳細はリンク先をご覧ください。
最後に
ちなみにスーパーチャットを法的に考えると、サービス提供と配信者支払いを分離していることで資金移動業としての諸々を回避しているらしいです。こういう法律ハックみたいなの、堂々とやっている分にはあまり嫌いじゃない。