1872年10月14日、東京は新橋の駅にて高らかな汽笛が鳴り響き、世界への窓口たる横浜へと汽車は走り始めました。
それから150年を経た2022年。JR東日本は「鉄道開業150周年記念 JR東日本パス」なる企画乗車券を発行しました。簡単にこれを説明するとすれば、2022年10月14日~27日の間の連続3日間において
- 在来線・特急券等が必要な自由席・一部の私鉄
- 4回まで事前予約すれば指定席
が乗り放題になる22150円の乗車券です。えきねっと限定発売という若干手に入れづらい条件はあるものの、発行制限枚数等はなく利用開始日の3日前までに予約しておけばきちんと手に入れられる便利な切符です。
この切符を使わないことはもったいないと考えたので急遽東北を訪れる計画を立てて実行してみました。記事の長さを考えるといくつかの記事に分割するので、今回は首都圏から松島へ行ったという部分を扱っていこうかと思います。
ちなみにこの旅は普通に楽しかったので、この記事については記事ストックの足しというよりも、Aboutページに書かせていただいている通り、私が「ネットの海に流しておきたいと思ったもの」といった方が近しいかもしれません。
結論
- 安くない???
- 松島の風景よりも露頭の方が楽しい
行くぜ東北
私は上野駅周辺で前泊するほど計画的なので、開始日の前日にえきねっと経由で指定席の予約状況を確認することが出来ました。残念ながら世の中の人類はさらに計画的なようで、前日の夜の時点ではやぶさ号の始発から8時台のものまで指定席が埋まってしまいました。悲しいですね。
はやぶさ号は全車指定席のため立席特急券を用いることを考えたのですが、このパスで乗ることのできる指定席の条件は「あらかじめ座席の指定を受けた指定席」なんですよね。この「あらかじめ座席の受けた」というのがミソで、立席特急券というのはどう考えても「あらかじめ座席の指定を受けた」という定義に入るとは思えません。座る座席の指定が存在しないからです。特急券の料金はほとんど運賃と同額+αという感覚を持っているので、東京→仙台間の運賃を余計に払うことを避け、後続のやまびこ59号に乗車することにしました。
やまびこ59号の指定席が取れたら新幹線の快適な椅子でふんぞり返りながら仙台へ赴くことが出来たのですが、はやぶさで指定席が埋まっているのでやまびこでも当然のように指定席が埋まっていました。そのため自由席になったのですが、自由席は上野のホームに入ってきた時点で完全に埋まっておりデッキで立ちながら仙台へと赴くことになりました。トホホ…
仙台
というわけで仙台駅へ着きました。仙台から松島へと向かうべく東北本線のホームへと向かいます。本来は仙石線のホームへと赴き「松島の入り口」ともいえる松島海岸駅を目指すべきなのですが、仙石線は本数が若干少ないうえ停車駅が多く低速であると言わざるを得ません。そのため海岸から約1km奥まったところにある松島駅に到着するもののそれなりに高速である東北本線を選択しました。
東北新幹線とは打って変わり、土曜日の朝ということもあって余裕で座席を確保することが出来ました。線形もそれなりにいいのでうつらうつらしていると20分ほどで松島駅へと付いてしまいました。寝過ごしても小牛田で止まるのでまだいいものの、時間のロスになりますから危ないところでした。
松島まで
先述の通り松島駅は名前こそ松島観光に便利そうなものの、実際は1kmほど離れた内陸に所在しています。そのためのんびり歩いて松島の海岸を目指していきます。駅を出てから右へと曲がりそれなりに車道が広い道を歩いていると以下のような露頭を発見しました。
明らかに正断層であるとしか考えられないものです。このような素晴らしい露頭と出会うことを想定していなかったのでかなり動揺しました。この露頭を少し詳しく観察してみましょう。まずは大きく分けて上から
- 泥岩層
- 砂岩層
- 礫層
- 砂礫層
- 砂岩層
- 泥岩層
といったものが見える露頭であるとわかります。画像中央には大きな亀裂が入っており、ここを境に上に挙げた層がきれいにずれています。こういったものを「断層」というのですが、断層は大きく分けて3種類に分かれており、正断層・逆断層・横ずれ断層の3つとされます。この露頭に見られるものはこのうちの「正断層」と言われるもので、両側からの圧力が無くなったり、引っ張られることによって形成されるものです。断層の下にある方を固定して考えた時に、片方が下へと動いたように見えるものですね。
また少し行ったところには砂泥互層の綺麗な露頭が存在しました。
松島は地学教育に力を入れているのかどうかははっきりしませんが、個人的に強く惹かれました。三陸ジオパークの一員であるのならば、こういった露頭も含めていいのに…と思ってしまいます。
遊覧船
以上のように道から見える露頭を観察しながら歩いていると1km程で海にたどり着きました。海沿いは歩きやすい公園として整備されており、多島海たる松島の景観を様々な視点から観察することが可能です。また1000円を課金することによって陸からだけではなく海から松島の景観を楽しむことが出来ました。
50分で約20kmほど移動し、(割とどうでもいい伝説を聞きながら)多様な侵食を受けた島・岩を海の上から観察することが出来ました。搭乗した人の20%ほどがうつらうつらしているように見えたのは、程よい航海の証ということで無理矢理納得しました。
関連リンク
- 「鉄道開業150年を記念したJR東日本オリジナル特別企画乗車券を発売中!」JR東日本鉄道開業150年スペシャルサイト、2022年5月16日。
- 「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」JR東日本、おトクなきっぷ。
最後に
前回のジオ関連の記事: AI生成の偽画像が静岡県の洪水情報と思われた
松島の駅に降り立って一番最初に強く惹かれたものが、多島海の風景ではなく正断層になるとは思っていませんでした。このサイトではよくある竜頭蛇尾な記事になってしまいましたがいかがでしたでしょうか。観光案内では仙石線を案内されるかとは思いますが、松島駅から少し歩いてみて陸地よりの露頭を観察したい方の参考になれば幸いです。