岩手の鍾乳洞「龍泉洞」へ行ってきた

アクセスの異様な悪さだけ何とかなれば / 2022-10-29T00:00:00.000Z

JR東日本パスという切符を用いて日本三景の1つである松島を訪れたのですが、せっかく有効期間が3日間もあるのならばもっと様々な場所を訪れたいですよね。というわけで以前から気になっていたものの足があまりにもないことから行く機会のなかった岩手県の「龍泉洞」という鍾乳洞を訪れてみました。

結論

  1. 新幹線ワープを気兼ねなく利用
  2. アクセスが大変に良い(よくない)
  3. めちゃくちゃ良い

松島から

前回の記事で示した通り私は松島を訪れたのですが、松島から今回の主題である龍泉洞は直線距離でも180km以上あり、とてもではありませんが1日で移動して、しかも観察する時間があるとはいえません。そのため一泊したのですが龍泉洞のアクセスページをご覧いただくと分かる通り公共交通機関が絶望的な本数であるため、これに合わせて行動する必要があります。そのため龍泉洞の見学が始まる8時30分に間に合うバスがありかつ松島から移動できる宿泊施設がある場所を一生懸命考えたところ岩手県宮古市になりました。

といっても松島から

松島→(東北本線)→小牛田→(陸羽東線)→古川→(東北新幹線)→一ノ関→(大船渡線)→気仙沼→(大船渡線BRT)→盛→(三陸鉄道リアス線)→釜石→(三陸鉄道リアス線)→宮古

というものすごい長距離移動をする必要がありました。新幹線ワープを用いることで60分ほど短縮できたことから1本早い大船渡線に乗ることが可能になったので、自由席使い放題のJR東日本パス万歳🙌といった感じです。新幹線ワープと書くからには八戸まで下り、八戸線・リアス線で再び上ってもよかったと考えられます。

奇跡の一本松と陸前高田ユースホステル

しかし個人的に陸前高田市の「奇跡の一本松」とその近辺に所在する震災遺構や「東日本大震災津波伝承館」を一度見ておきたかったのでこのようなルートを取らせていただきました。到着時間が日没時間とほぼ同じであったため写真としては微妙ですが、いい経験になったと思っています。

5時30分スタート

JR東日本パスを利用して移動していることから分かるかと思いますが、基本的にこの旅は公共交通機関に頼っています。意外に知られていないのですが、公共交通機関は自分のタイミングで来るものではなく、向こうが来るタイミングに合わせて私が動く必要があります。先述の通り私は宮古市に宿泊しているので、龍泉洞へのアクセスページを見ながらアクセス方法を考えてみましょう。

まず龍泉洞が午前8時30分に営業を開始するのでこれに間に合うバスを考えると、

  • 06:05 茂市駅 → 岩泉橋/岩泉病院
  • 07:03 岩泉小本駅 → 岩泉中学校

の2本が考えられます。前者のバスに乗るためには05:23宮古発の山田線に乗る必要があります。しかしながらこれは明らかに早すぎるということで却下しました。というわけで後者のバスに乗ることにしたのですが、山田線と比較すれば遅い05:58宮古発のリアス線に乗る必要があると明らかになりました。二択なのでこれしか選択肢が無いわけなのですが、これに乗るためには宿泊先を5時30分に出る必要が出てきました。

最寄り駅(18km)

というわけで宿泊先のホテルを朝5時半に出て宮古発の久慈行きへと乗り込み、30分ほどでたどり着く岩泉小本駅へと降り立ちました。三陸鉄道の車内で「龍泉洞最寄り駅です」みたいなアナウンスが流れていたのですが、地図で見ると龍泉洞まで18kmほどあるんですよね。○○前駅がクソ程遠いという事例は読売ランドとか御陵とかがあるのですが、それでも大体2kmくらいです。明確に龍泉洞前駅とは言っていませんが最寄り駅と名乗っていい距離とは思えないんですよね。

文句はこの辺りにして岩泉町小本津波防災センターと一体化している岩泉小本駅へ着きました。バスまでは30分ほど時間があるのでローソンでカレーまんを買い、朝食代わりにしました。普通に美味しかったです。また小本津波防災センターの1階には「三鉄駅の小さな博物館」として小本地区の模型や周辺で発見された化石などが展示されており、十分楽しい待ち時間となりました。

龍泉洞

バスに揺られること約20分、岩泉町の中心部に近しい岩泉中学校前というバス停で降車しました。一部のバスは鍾乳洞の目の前にあるバス停「龍泉洞前」まで行くのですが、この時間のバスはそこまで行かないバスであるためここから約2.5kmを歩く必要があります。東京都奥多摩町にある日原鍾乳洞にも訪れたことがあるのですが、ここと同じように目の前にあるバス停に行かないバスがあります。日本鍾乳洞九選繋がりなのでしょうか。日原鍾乳洞のように土日は全てのバスが2km前止まりという程ひどくはありませんが。

のんびり歩くと家が途絶えていき、森の中を少し進んでいくと急に観光地然とした龍泉洞への入り口が見えてきます。観光地として本質的な価値よりも大きく見せかけようとする場所は割と好きではありませんが好きなので、ちょっと楽しくなってきました。龍泉洞が大きく見せかけようとする理由ははっきり言って分かりませんけど。

8時30分営業開始と書いてあったのでチケットは30分くらい前から売っているのかと思っていたのですがそうではなく、8時くらいに到着してしまったので少々暇になってしまいました。そのため龍泉洞の入り口の周りをのんびり歩いてみます。

まず目に入ったのは自由に鍾乳洞生まれの水が飲める給水所です。さすがにペットボトルを持ち歩いていたため喉が渇いているわけではなかったのですが普通に美味しい水でした。こんな感じで水が泉のように湧き出ていました

龍泉洞の入り口にある「五郎兵衛石」

またこの横には「五郎兵衛石」というものが置いてありました。そばに建てられていた案内板によると、明治時代に三田地五郎兵衛なる人物が設置した方角と時刻を示す石であるとのことです。明治時代にもなってこのようなものをわざわざ設置した意味はあまり分かりませんが、歴史を感じました。

8時20分頃、チケットカウンターが営業を始めたためチケットを購入しました。ついでなのですが「トクトククーポン」というものを使えば団体料金で入場できるので、クレジットカードやQR決済などといったキャッシュレス決済が使えなくなるというマイナスポイントがあるものの、170円安くすることが出来ます。もしよろしければ使用してみてください。

内部へ

8時30分になったので検札を受け龍泉洞の内部へと進みます。チケットには半券が付いていたのでそれを切り離すものだと思っていたのですが、どうやら下記の龍泉新洞博物館との共通券であるため、半券自体は龍泉新洞で切り離すもののようです。入り口のおじいさんがものすごく寝起きであったため切り離されなかったということではなくて安心しました。

先述の通り私は日原鍾乳洞に訪れたことがあるため鍾乳洞の相場は知っており、湿度が極めて高いことは分かっていました。しかしながら龍泉洞は日原とは比較にならないレベルで湿度が高く、時期の問題もあるでしょうが温度の割に湿度が高かったことから、非日常空間に来たような気持ちになりました。

コウモリの糞対策か上部にプラスチックの板が設置されている道を進んでいきます。内部には周囲から水が入り込んでおり「川」として十分な量の水が流れていました。安全のためしっかりとした遊歩道こそありますが、スマホであったり小物であったりを落とさないか心配しながら歩き進めました。そして一番奥へと進むとこのような景色が眼前に広がりました。

龍泉洞で立ち入ることの出来る最奥の場所から見える地底湖

ここに限らず龍泉洞では青や緑をベースとした色の照明が設置されていました。個人的には石灰岩そのものを色付けるような照明はあまり好きではありません。しかし落ち着いた雰囲気を演出出来ていると思ったので、ビビりの私にとっては大変嬉しかったという側面もありました。

湖底が見えない状態でその上を歩くのは正直言ってかなり怖いので、湖中への吊り下げ照明によって、いくばくかは安心して歩くことが出来ました。怖かったけど。

龍泉洞の第一地底湖を展望台から望む

龍泉洞は内部のアップダウンが激しく、「展望台」という場所から上の写真のように地底湖を見ることが出来ました。ちょっとぶれているとは思いますが、99%の湿度で三脚無し、4秒露光の限界なので許してください。逆にもうちょっといい感じにする方法をご存じなら教えてください。

また年中温度が一定に近しいことからワインの貯蔵にも使用されているとのことで、出口近くには貯蔵庫が設置されていました。出口までの道は人工のトンネルで歩きやすかったのですが、そこには龍泉洞の開発の歴史が写真と共に紹介されていました。かつては先程示した川をサッパ船で上っていくといったスタイルでの観光が行われていたらしく、それはそれで楽しそうだなと感じました。

龍泉新洞

龍泉洞の道路を挟んだ反対側には「龍泉新洞博物館」というものがあります。これは龍泉洞のメインではない部分が河川によって切断されたため残されたもの、すなわち龍泉洞の対岸にある鍾乳洞です。この鍾乳洞では溶食によって形成される特徴的な地形に留まらない以下のようなものを見学することが出来ます。

  • フローストーン
  • 洞内真珠
  • チャートと石灰岩の露頭
  • リムストーンプール
  • ストロー
  • 石筍の成長測定現場
  • 龍泉新洞遺跡/龍泉新洞人

しかしながらこれらの画像を皆さんにお届けすることは出来ません。

龍泉新洞の禁止事項

上記のように入り口にある看板において、用便と同列で禁止されているからです。どうして…。

最後に

公共交通でアクセスされようとする気が3mmくらいしか感じなかった。でも最高です。はい。

Writer

Osumi Akari