科学者はMastodonにアカウントを持つべきか

Natureにも載るFediverse / 2022-12-07T00:00:00.000Z

MastodonというSNS運営用ソフトウェアが存在します。あくまでこれはサーバー上で動作するソフトウェアの名称ですが、それを用いて運用されているサービスのことも専らMastodonと呼ばれています。Twitterがイーロン・マスクという方に買収された影響で様々なインスタンスにおいてユーザーが増加していますが、だからといってアカウントを自分が作る必要があるのかどうか迷っている人も多いかと思います。

私はインスタンスを立てようか迷っているのですが、そのための情報探しをしていたところNatureという有名な雑誌上に「Should I join Mastodon? A scientists’ guide to Twitter’s rival」というタイトルの記事がありました。その内容をざっくり紹介させていただきますので、そういった方々の参考になれば幸いです。

結論

  1. 同じ考えを持った人が集まりやすい
  2. 広いリーチが難しい

記事より

というわけで当該記事のエッセンスを抜き出してみました。

良い点

Mastodonはインスタンスによって環境が大きく異なることがよく指摘されている通り、1つのインスタンスには似たような考えや思考ベースを持っている人が多いと言えます。科学者にとってはスムーズな会話を行うことが可能となり、快適なコミュニケーションを行えるかもしれません。キュレーションアルゴリズムによって自分のところに情報がやってくるといったこともありません。

またインスタンスによって異なるもののTwitterより多くの文字数を投稿することが出来ます。これによって伝えたいことを省略することなく表現することが可能となります。

課題

ただインスタンスごとに環境が違うということは、新参者と古参の人々との間で摩擦が容易に発生するということを示しています。さらにはその環境は人々の出入りによって大きく変化するという可能性があります。幅広い人々に向かって成果を広めるというTwitterでツイートをしていた意味を考えたとしても、十分にその投稿が広まらなければ目的が達成されないことさえあります。

また引用リツイートにあたる機能が存在しないことで自らの説に対するフィードバックとその広がりを認知することが難しい点や、特定の論文に関する議論を集約できない点が問題になる可能性が指摘されています。

記事から

以上の点は科学者に特有のものとみなしてしまいがちなものであるといえるでしょう。しかしながらその大半は普通のユーザーにも応用できるようなものばかりです。すなわちMastodonは基本的に狭い輪がベースとして存在するのであって、多くの人々に繋がり「うる」といった性質がTwitterよりも強く出てしまっているということです。狭い輪にこもるのは体験としては極めて良いものの、何かを伝えたり批判を受けたりしたい場合には不向きであるということでしょう。

しかしながら快適でかつ同じ思考ベースを持っている人との会話は概してスムーズで不必要なコミュニケーションの障害が無いことがほとんどです。そのため元の記事においても推奨されていますが、Mastodonのアカウントを作成したとしてもしばらくは両方にいることが良い行動であるということといえるのではないでしょうか。

関連文献

最後に

というわけでNatureの記事をざっくりと翻訳したGIGAZINEチックな記事でした。ちなみにresearchmapという研究者向けのSNSがありますので、きちんとした業績ベースの情報を科学者の方々から得たい方はそちらをご覧になることをおすすめします。

Writer

Osumi Akari