私は作曲をすることは出来ないのですが、音楽が嫌いなわけではありません。むしろ大好きです。
何かを作る際やいい感じの音楽を聴きたくなった際には市販の音楽を使うというのも悪いアイデアではありませんが、場合によっては極めて煩雑かつ非効率で、かなりの対価を用意する必要もあるKASRACとの手続きをする必要があります。「インタラクティブ配信」という謎の概念のせいで音楽使用を諦めたことは一度や二度のことではありません。これに対してインターネット上で無料で音楽を配布されている方がいらっしゃり、そのような音楽は極めて使い勝手がよく品質も高いものが多いため、大変ありがたい気持ちで胸がよくいっぱいになります。
このようないわゆる「フリーBGM」として無料で配布されている方々に感謝してもしきれないのですが、一つだけ残念に思っていることが私にはあります。それは「フリー」と名前がついていたとしてもそれは単に無料であるだけであって、自由な音楽ではないということです。これだけ書いたとしても意味が分からないと思うので、この記事では「自由な」の意味とフリーBGMの関連性についてざっくりと書いていこうと思います。
結論
- フリーではない「フリーBGM」はごまんとある
- 再配布禁止や謎の用途制限などがよくある規定
- 音楽が嫌いなわけではない←重要
Free as no fee
「フリー」とされている音楽が意味している「フリー」の意味はどのようなものでしょうか。多くのフリーBGM配布サイトは以下のような規定であることが多いです。
- 報告不要
- 商業目的使用可能
- 再配布禁止
- BGMとしてのみの使用許可
こうした規定を用意する理由としては、可能な限り自分の音楽を様々な人々に使っていただきたいというその気持ちを実現しつつ、音楽単体で何も加工せずに放流したりするような人々を排除するといったものがあります。このような規定がとても便利であることは疑いようもありません。
フリーコンテント
しかしながら「フリー」から連想される「自由」というものに上記の規約は全く当てはまっていません。自由なコンテンツの前提となるオープンコンテントには明瞭な定義が存在します。定義についてはリンク先を参照していただきたいのですが、「再配布禁止」や「BGMとしてのみの使用許可」がこれらの定義から外れることはお判りいただけたでしょうか。これは自由であるということは「誰かに独占されていない状態」という考えが根底にあるといえるからです。例え作者といってもコンテンツに対する独占状態を維持するのは、そのコンテンツが自由であるとはいえないものと言えます。また用途を制限することも似たような理由です。
こうした自由を実現する方法の一つとして、ライセンスをそのコンテンツに対して適用するという方法があります。例えばこのサイトのコンテンツの大半に設定されているCC BY-SAはフリーコンテントに適したライセンスの一つです。詳しい条件はリーガルコードを読んでいただきたいのですが、要するに
- 名前を書いておいてくれ
- この条件を作った著作物にも適用してくれ
という2つの条件を満たせば、ほとんど全ての場合において自由に使用できるといったライセンスです。CC BY-SAの重要なポイントとして「感染する」といったものがあります。その創作物やこれを活用したが自由であり続けることで、自由な世界を実現しています。
反対に自由なものではないライセンスとして、「CC BY-ND」や「CC BY-NC-SA」などが知られています。これらのライセンスが適用されている曲としては「インドア系ならトラックメイカー(CC BY-NC-SA 3.0)」が挙げられます。この曲が極めて良いことは分かっており個人的に大好きで素材まで公開されていることは大変ありがたいと思うのですが、商用利用が禁止されている点においては不自由なものとして見なさざるを得ず、若干残念な点が存在するといえてしまいます。
リスト
では世の中はこういった自由ではない「フリーBGM」だらけなのかといえば、そんなことはありません。自由なライセンスを用いているフリーBGM配布サイトとして以下のものが知られています。
- Audio Library - 作品ごとに異なる。
- AudionautiX - CC BY 4.0。
- Free Music Archive - 一部フリーではないライセンスがあることに留意。
- Freesound - 様々なライセンスが存在する。
- 魔王魂 - CC BY 4.0と魔王魂素材利用規約のデュアルライセンス。
- Musopen - 一部フリーではないライセンスがあることに留意。
- Mutopia - クラシック音楽が中心。
- Otologic - CC BY 4.0。
少しずつですがフリーなライセンスを適用したサイトが増えているのは嬉しいですね。
最後に
フリーBGMは大好きでよく使わせていただいているし感謝もしています。しかし個人的に「フリー」といいながら謎の制限を生やしているのは本当に良くない習慣だとずっと思っていたので、文章の形でその思いを吐き出してみました。といっても深夜3時に書いているので日本語として崩れに崩れている気はします。ごめんなさい。
念のため何回も書いておくのですが、本当にフリーではないからといって音楽としての価値が毀損されるわけではないと思っています。しかしながらフリーと名乗るからにはそれ相応のライセンスで提供してほしいなとも思っています。これがアンビバレントな気持ちというのでしょうか。取り敢えずスッキリしたので、フリーな世界がより広がることを祈りながらこの記事を終わりにしたいと思います。それでは。