前回の記事では鳥趾状三角州の例としてミシシッピ川河口域にある三角州を紹介させていただきました。ところでミシシッピ川流域には「ミシシッピデルタ」と呼ばれる一帯があります。これだけ聞くと河口域の三角州と同一のものを指すような気がしますが、実は全く異なるものを指す用語です。
ややこしいなと思ったので、今回はミシシッピ川の河口にある三角州とミシシッピデルタの違いについて本当にざっくりと説明していこうかと思います。
結論
- ミシシッピ「川」デルタとミシシッピデルタは別物
- 「川」デルタは本当に三角州
- 川無しデルタは沖積平野
川のデルタ
鳥趾状三角州という特徴的な物があることによって世界的に知られているのが、ミシシッピ川の河口にある三角州です。
これはNASAが提供している画像をクリッピングしたものですが、名前の通り鳥の足のような形状をしていることが分かると思います。またもうちょっと引いて見ると三角州の発展の歴史を垣間見ることが出来るので、それはそれで楽しいものとなっています。
川無しデルタ
ミシシッピデルタという、いかにも上で紹介した三角州を指しそうな言葉は一般的にそこではなく、河口から250km程遡った場所にある沖積平野のことを指します。どうして沖積平野を「デルタ」と呼び始めたのか本当に理解できないのですが、一般にそう呼ぶそうです。
この地域はアメリカで「最も南部らしい」場所として知られています。温暖な気候に恵まれており、ミシシッピ川やヤズー川の力で形成された肥沃な土地で多様な作物が栽培されていますが、その一方で構造的な不平等や人種差別の問題も根強く残っている場所となっています。詳しい内容は日本語版ウィキペディアの記事が充実していますのでそちらを参照することをおすすめします。
最後に
めちゃくちゃややこしいネーミングだと思っているのですが、使われる文脈は相当違うので実務上問題はないということなのでしょうか。この辺りの命名の歴史まで調べられていないのですが、調べてみても面白そうです。