「日本でチャリティーがビジネスになる時」という記事が海外で出た

純粋なマスメディアかと言えば怪しいが / 2023-01-06T00:00:00.000Z

2022年11月頃、東京都に所在している女性支援をするとしている団体に不正経理があるのではないかという疑惑が持ち上がりました。「リーガルハラスメント」というよく分からない概念が爆誕したり、公開した黒塗りPDFの下にデータが残っていたためユニクロで車用品を購入していることが発覚したりしながら徐々に住民監査請求などが進んでいっています。

さて先日記者個人の見解であると断ったものであるものの「When charity becomes business in Japan」という記事が出たことがそれなりに話題になったことと思います。また2日前にこちらも記者個人の見解であると断ったものではありますが「When media is in cahoots with Japan's powers that be」という記事も出ていたので個人的にまとめてみようかと思います。

結論

  1. 「日本でチャリティーがビジネスになる時」というストライクすぎるタイトル
  2. 香港に本拠を置くカトリック系メディアであることに留意

チャリティーがビジネスに

今回紹介させていただく「When charity becomes business in Japan」という記事を直訳すれば「日本でチャリティーがビジネスになる時」というタイトルです。大まかな内容を箇条書きでまとめると以下のようになります。

  • 数百万円の公的資金が投入されていた教会(意図的にNPOと混同されているように見えます)のメンバーが逮捕された
  • このようにNPOは機能不全となることがある
  • 以前歌舞伎町で(メンバーが逮捕されたNPOを支持していた)女性支援団体へインタビューを行おうとした際、マネージャーは質問事項をメモした上でその場ではなくメールで回答した
  • また支援されている人々への直接取材は「男性だから」と支援団体に拒否された
  • この女性支援団体は少なくとも2億1600万円の公的支援を受けている
  • 支援されている女性をデモに参加させていたことも明らかとなった
  • 機能不全に陥ったNPOの存在は慈善事業の信頼性を貶めてしまう

サブタイトルにある「Hosanna House scandal」とは2022年12月8日に覚醒剤取締法違反で逮捕された牧師オリジナル)に関連する事件のことを指すと考えられます。その牧師が立ち上げた自立支援を行う施設が「ホザナ・ハウス」という名前であるのでこの名前が便宜上付けられたようです。ちなみにドメインを見る限り「Hozana House」が正式名称のようですが、ホサナというキリスト教用語(「主よ、我らを救いたまえ」辺りが妥当な日本語訳だと思っている)からこの記事では「Hosanna」というスペルが用いられたと考えられています。

記事の内部では記者の実体験を通して女性支援団体の奇妙な行動について触れられています。筆者は件の団体は支援されている女性に対して直接的な接触をされないような行動をとっていると思ったのでしょう。メディアへの露出は団体の目標やその成果を伝える有効な手段であるのに奇妙なものであるということです。

また1月4日に出た記事「When media is in cahoots with Japan's powers that be」においては既存のメディアについて強い批判を与えています。5段落目にあるこの文章がこの記事における主張の性格を端的に表しているでしょう。

The Colabo story is very crucial as it highlights a core truth of these times — there are no more institutional watchdogs but only volunteer “stray dogs” that have been digging up the dirt that used to be the bread of genuine investigating journalism.

組織的監視に代わってボランティアの「野良犬」らが、かつては調査報道の糧であった土を掘り起こしているという、Colaboに関する一連の流れは最近の核心的真実を浮き上がらせているという意味で極めて重要である。

可能な限り中立であろうとすることを心がけているためここで留めておきます(というレベルで中立的ではない)が、こちらの記事は既存のメディアやジャーナリストがこの問題を調査していないのに、一般男性が数千万円のカンパを集めた上で追及を進めていることに言及しており、ここからメディアは「腐敗の繁栄」を許してしまう要因であると断じています。気になる方は本文を読んでみてください。

UCA News

この記事を出しているUCA News(Union of Catholic Asian News)は香港に本拠を置く英字新聞であって、カトリック系メディアであることが知られています。個人的にはエポック・メディア・グループの各種媒体と同じか少し上くらいの信頼性だと思っているので「海外メディアは扱い始めているのに日本のメディアはうんたらかんたら~」とツイートしている方々があまりに多いのにはうーんという気分でいます。「ホザナハウス事件」で逮捕されたのは牧師、すなわち非カトリック系のキリスト教会所属の人であるため、殊更その点が強調されているのも、それなりに強い意図を感じてしまいます。

また客観的な情報が今のところ住民監査請求結果(東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める件の監査結果)程度しかないので極めて記事が作りづらい状況にあることは否定できません。マスメディアが調査報道を行うべきという意見については私も同じことを思っていますが、一本も記事が出ないことを持って強く非難するのはあまり良くないことではないかと思います。

関連リンク

最後に

当事者による主張ばかりが入ってくるため、客観的な分析を行うことはまだ難しいですが取り敢えず遠目に観察はしています。ColaboとGoogle Colabの違いすら分からなかったレベルのゴミなので観察と情報のアーカイブ化しかできませんが、何かまたネットの海に流しておきたい情報が手元に入ってきた際には記事にしてみようかと思います。