共通テストとなって3回目の試験が2023年1月14日・15日に行われました。というわけで2023年基礎無し地学を勝手に解説していきたいと思います。さすがに全ての内容を一日の記事にしてしまうと長くなってしまうので大問ごとに分割してみました。この記事は大問3について扱っています。それでは、見ていきましょう。
注意
- この解説に付き、大学入試センターやその実施大学と一切関係はありません。
- 著作権関係の問題が発生する可能性がありますので、試験問題そのものの転載はしておりません。そのため大学入試センターや新聞社のWebサイトなどから問題を入手されることをおすすめします。
- この記事における内容の正確性は一切保証しておりません。
問1 - マグマの混合の思考実験
この問題では地学部所属のSさんが書いた思考実験のレポートを基にして、考察を行わなければなりません。この問題を解くためには安山岩を知っておく必要があるので、先に安山岩の代表的な鉱物を示しておきましょう。
- 斜長石
- 角閃石
- 輝石
というわけで選択肢にない橄欖石がこの問題の答えです。また橄欖石は安山岩が出来るような二酸化ケイ素の割合の岩石に存在しないという観点からもこの問題を解くことが出来ます。というわけで正答は1です。
問2 - 結晶分化作用
この問題は結晶分化作用を知っているのかという一点に集約できるかと思います。結晶分化作用は以下の図のようにマグマの温度が下がっていくにしたがってマグマの化学的組成が変化していく作用のことです。
結晶分化作用は結果としてカルシウムに富む鉱物をマグマから抜けさせていくので、正答は2と言えます。
問3 - ジオさんとデスモスチルス
ジオさんの復活!!!という印象が極めて強い問題で、このページを開いた瞬間にその事実だけで興奮してしまった方も多いのではないでしょうか。この問題においては示準化石の知識が極めて重要な物となります。
生物名 | 時代 |
---|---|
デスモスチルス | 新生代第三紀 |
イノセラムス | 中生代(特に白亜紀) |
ピカイア | 古生代 |
表にまとめるとこのような感じになるでしょうか。A層にあるピカイアの存在でめちゃくちゃな印象を持つかもしれませんが、幸いなことにB-C層の関係が不整合となっているのでこれを無視すると、デスモスチルスが存在できるのはせめてC層までとなります。というわけで正答は3です。
問4 - 褶曲と断層
この問題はジオさんが観察している露頭に見られる構造がどのようなものかを冷静に見れば簡単に解ける問題です。ラクダの「こぶ」に当たる部分が背斜であると考えれば、褶曲構造の名前で混乱することは無いでしょう。
上の画像は松島へおでかけした時に見つけた断層と見られる露頭ですが、これが正断層です。これを基にジオさんが観察している露頭に見られる地質構造を考えてみると、背斜と逆断層が見られることが明らかです。というわけで正答は4です。
問5 - ホモ・サピエンスの誕生
人類(現生人類に限らない!)の出現から現在までを1年間として扱ったチャート表を基にした問題です。不要にまどろっこしい表記をしていますが、要するにホモ・サピエンスはいつ現われたかを聞いている問題です。ホモ・サピエンスの誕生はどんなに古く見積もったとしても31万年前と言われていますので、正答は4です。
問6 - 人類に降り注いだイベント
前の問題と同じくややこしい表記となっていますが、要するに700万年前までに起こらなかったことを選べばいいわけです。まあ正答は普通に4番です。隕石衝突に起因する生物の大量絶滅は幸いなことに白亜紀末(約6500万年前)ですからね。
関連リンク
- 全体の解説
- 大問ごとの解説
- 2024年の第3問の解説
- 「2023年 共通テスト 地学 第3問 解説」Geosophy、2023年2月11日。
まとめ
2023年はジオくんではなくジオさんの登場となりました。1年間の休止の間にちゃんとした身体と装備を備えたみたいですね。