共通テストとなって3回目の試験が2023年1月14日・15日に行われました。というわけで2023年基礎無し地学を勝手に解説していきたいと思います。さすがに全ての内容を一日の記事にしてしまうと長くなってしまうので大問ごとに分割してみました。この記事は大問4について扱っています。それでは、見ていきましょう。
注意
- この解説に付き、大学入試センターやその実施大学と一切関係はありません。
- 著作権関係の問題が発生する可能性がありますので、試験問題そのものの転載はしておりません。そのため大学入試センターや新聞社のWebサイトなどから問題を入手されることをおすすめします。
- この記事における内容の正確性は一切保証しておりません。
A - オゾン層の破壊
これらの問題においては気温の季節変化のグラフをベースとしてオゾン層の破壊について考えています。実はあまり関係なかったりします。
問1 - 高度10km~50km
高度10km~50kmの地球大気の範囲を一般的に何というかという問題です。対流圏の上であり中間圏の下である成層圏ですね。というわけで2です。
問2 - 気温の変化とオゾン層
一見ややこしい問題ですが、オゾン層とは何かを理解していなかったとしても問題に書いてある内容だけで十分に解ける問題です。問題文中においてマイナス78度になると雲が発生し、雲が発生しかつフロンガスが存在するとオゾン層の破壊が進行すると書かれています。これを丁寧に読み解くと、「雲が存在しないのならばオゾン層の破壊が促進されない」ということが明らかになります。マイナス78度にならなければその雲が発生しないので、相対的に実線で表されている2018-2019の方がオゾン層の破壊が進んでいないと見なすことが出来ます。
というわけで正答は3です。
B - 海洋の循環
海洋においては「循環」と呼ばれるものが起こっており、様々な要因によって様々なものが輸送されています。こっちはそれぞれの問題とそれなりに関係があります。
問3 - 地衡流
地衡流もしくは地衡風とは何かを知っていれば簡単に解ける問題です。ある意味知識問題と言えるかもしれません。地球上の流れは微弱ではある(なので河川などにはほとんどその効果が表れない)もののコリオリ力と呼ばれる力を受けます。また同時に圧力が高い場所から低い場所へ流体を移動させようとする力である(この問題の場合は圧力)傾度力も受けます。この結果図2のような形で環流が形成されます。というわけで正答は4です。
問4 - 海洋水のアイソスタシー
パッと見た際にどのように取り掛かってよいか分からない問題であると思います。しかしながらご丁寧に「海洋全体ではアイソスタシーが成立」していると書かれているので、その誘導にのっかっていいと思います。
アイソスタシーというのは特定の基準面を考えると、その上に乗っかっているものの重量が等しい(平衡である)と見なせるという考え方です。アイソスタシーを満たしている選択肢を考えると2か4になり、地衡流の性質を考えれば正答は2となります。
問5 - 緯度とコリオリ力と西岸強化
この大問の一番最初においては緯度によってコリオリ力が変化しないという仮定が置かれていました。ところがそんなことは無いという話なので、それに関して考察してみようというお話です。といっても問題文が親切なのでそこまで引っ掛かる点はないかなと思います。
問題文中には「流速が同じでもコリオリの力は高緯度ほど強い」と書いています。そのため図2のように長方形に近しいような海水面高度分布ではなく、北西と南東を軸としたラグビーボール状の形状をした分布になります。その結果北太平洋だけ抜き出して考えると西に偏った形となり西側の流れが相対的に速くなります。こうした効果は一般に「西岸強化」と言われます。というわけで正答は3です。
関連リンク
- 全体の解説
- 大問ごとの解説
- 2024年の第4問の解説
- 「2023年 共通テスト 地学 第4問 解説」Geosophy、2023年2月21日。
まとめ
若干難しい問題もあるかと思いますが、問題文中にヒントが分かりやすく記載されていた大問であると感じました。親切ですね。