人間というのは一人で生きていけないということはよく知られています。また意思を決定する際には他者や環境の影響を大きく受けてしまうこともまたよく知られています。このことから考えると人間の意思決定は誰かの小さな意図に影響されてしまうと言え、それが多数の人に及んでしまう場合では最終的な決定が不合理なものになってしまう可能性すらあります。
今回はそのような集団心理を操作することによって、その効果を体感できるゲーム「群衆の英知もしくは狂気(The Wisdom and/or Madness of Crowds)」を紹介していこうかと思います。
結論
- 口コミルートをいじいじする
- 又聞き効果で情報を強める
- 人間の意思決定の強さを感じ取る
口コミルート
人間が何かの意思決定を行う際、その前提となる何らかの情報を必要とします。ところが人間が一人で得られる情報量は本当に限られているため、自分ではない他者から情報を得てそれを前提情報とします。他者から情報を得るルートには様々なものがありますが、ある意味最も素朴な物として「口コミ」というものがあります。
口から耳への情報伝達を重ねることにより、人間として関係がある人々へ特定の情報を広めることが出来ます。これを前提とした上で「群衆の英知もしくは狂気」のページを開き、ゲームを進めてみましょう。
このゲームにおいては人々のネットワーク、要するに口コミが広がっていくルートを繋いでみたり切り離してみたりすることでどのように情報の広まり方が変化していくかを体感することが出来ます。この接続・切り離しは簡単で、ノード間をD&Dの要領で繋げたり、既につながっている線をクリックボタンを押しながら切るような動作を行ったりすることで操作することが出来ます。
基本的に人間は繋がっている人々からの情報を基に判断します。そしてその情報が信頼できかつその情報を共有する価値があるのならば、その情報を再び発信する主体となります。当然ながらこのネットワークに接続している対象が多ければ多いほど。といってもあまりに繋げ過ぎても情報がストップしてしまうことがあります。
この現象は閾値の設定によって大きく変化すると言えますが、大なり小なり全ての口コミにおいて起こりうるものです。すなわち適切に情報が伝達するには適度な関係性の存在が必要とされます。といっても密接な関係があるということはその内部の一定数へ一旦入り込んでしまえば速やかに(正確性や妥当性がどのようなものであれ)情報が広まっていくことを示しています。密接な関係性がある「(ある種の)エコーチェンバー」から別のエコーチェンバーへ情報を伝達する際には以下のような適切な密度の関係性が必要とされます。
以上のようにして口コミルートを操作し、人間間で情報がどのように広まっていくのかについて30分程度で学ぶことが出来ます。このゲームにおいては人間は極めて単純化されています。周囲からの情報のみを取得し、特定の閾値を超えた人々から情報が入ってくれば自らもその情報を発信する主体となるだけの存在です。現実における人間はもう少し複雑な脳を持っているので、閾値のみで機械的に判断するのではなく、発信する主体となる前にその情報が正しいのかをチェックすることが出来ます。そのため自分が初めて誤った情報を発信する主体となってしまわないように、またその情報を再発信してしまわないようにチェックするということが常に求められているということです。 ところでこの記事の情報って正しいんですかね…?!
関連リンク
- 「群衆の英知もしくは狂気」
- 「集団心理で行動や考えが人にどうやって感染していくのかを体感できる「群衆の英知もしくは狂気」レビュー」GIGAZINE、2018年8月14日。
最後に
昔からこのサイトは知っていて個人的に極めて好きだったので記事にしてしまいました。ゲーム内での解説が極めて充実しているため、私の分かりづらい説明を読むよりも実際にプレイしていただいた方が理解が進むかと思うのですが、最後までこの記事を読んでいただいた方はどう思いになったでしょうか。もしよろしければフィードバックを下さると若干喜びます。