分散型SNSの比較をしてみる

Twitterが終わる日のために / 2023-02-22T00:00:00.000Z

Twitterがイーロン・マスクに買収されて以降、サービスとして不安定な状況が続いています。一応は使い続けることが出来てはいますが、他のSNSの宣伝を急に禁止しようとして撤回したり雑にAPIを遮断した結果「ツイート送信の1日の制限回数を超えています」という謎エラーを吐いたりしている現状を鑑みると、どこか他のSNSに移住することを考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では移住先の1つとして脚光を浴びつつある「分散型SNS」について簡単にご紹介し、これらの実装についても簡単に比較していこうかと思います。めちゃくちゃ詳しい…というわけでもないですし、状況はかなり流動的なので中身の信頼性はあまり担保できませんが何かしらの参考になればと思います。

結論

  1. いっぱいある
  2. それぞれのいいところは個々のユースケースで判断するべき

分散型SNS

ICTに関連して「分散」という言葉を聞いてどのようなものを思い浮かべたでしょうか。最近では「Web3」という謎の言葉の意味を無限に拡張する意味不明な(であるもののどうしてか声がデカい)界隈が特に考えもせず声高々に用いているので、その意味がかなり不明瞭になっているかと思います。分散型SNSにおける「分散」とは1つのサーバーのみに依存することなくコミュニケーションを取ることが出来る、といった意味で捉えるのが良いかと思います。当然ながらブロックチェーンやらガバナンストークンやらDAOやらといったものは、明らかに少なくとも直接的には関係ありません。

メールとActivityPubの比較

ここにおける分散型SNSを理解するために例を挙げると、それに最も近しいものは電子メールであると思います。電子メールそのものは建て増しに建て増しを経ているため全貌を理解するのは困難であると言えますが、これが持つ特徴をめちゃくちゃ端折って説明すれば、

  1. 複数の独立したサーバーが
  2. それぞれのユーザー(クライアント)を持ち
  3. サーバー間は同一のプロトコルで話せて
  4. そのサーバーは勝手に立てることが出来る

という特徴があります。電子メールはドメインと適切なサーバーが存在すれば勝手に生やすことが可能(電子メールで最低限必要なのは送信先と本文だけ…なのですが、細かいことは無視していただけるとありがたいです)で、通信相手が受け入れるのであればいい感じにコミュニケーションを取ることが出来ます。これの裏返しとして迷惑メールが送り付けられたり、勝手な拡張がなされたメールを受け取ってしまうこともあります。良くも悪くも分散型SNSも似たような特徴を持っていると言えます。

既存の(中央集権的な)SNSは、「1つのサーバーがそのサービス内におけるユーザーを持ち、複数のサービスなんて存在するわけがない」というものですので、勝手にサーバーを立ててコミュニケーションを取ることが出来るという点がかなり特徴的だと思います。分散型SNSでは同じプロトコルを話すサーバー同士は(実際にはある程度制限がありますが)互いに投稿を自らのタイムラインへと取り入れたり、リプライを送りあったりすることが可能です。これがFediverseと呼ばれているような分散型SNSの空間の大まかな説明です。何となく伝わったでしょうか。

簡易比較表

代表的な分散SNSの実装のうち、Twitterライクな機能が含まれるものをピックアップし、表の形で簡単にまとめてみました。知名度及び開発の活発さという2つの視点から「GNU Social」・「Pleroma」・「Akkoma」・「Mastodon」・「Misskey」・「Calckey」・「Bluesky」を選ばせていただきました。もちろんこれ以外にも素晴らしい実装(Fedibirdとか)は存在しますので、この記事をきっかけに調べていただければ幸いです。

GNU SocialPleromaAkkomaMastodonMisskeyCalckeyBluesky
公式サイトhttps://gnusocial.network/https://pleroma.social/https://akkoma.social/https://joinmastodon.org/jahttps://misskey-hub.net/https://calckey.org/ja/https://blueskyweb.xyz/
ライセンスAGPL3AGPL3AGPL3AGPL3AGPL3AGPL3X11
主な対応プロトコルOStatusActivityPubActivityPubActivityPub(最近は独自拡張が目立つ)ActivityPubActivityPubAT Protocol
特徴10年ほど前に最も活発だったElixir製サーバーが軽量分散であることを重視YRYRRustによる書き換えを実行中「Twitter2」に最も近い

この記事にたどり着いた人の一部には「能書きはいいからどんな空気のSNSか教えてくれ!」という気性の荒い方がいらっしゃるかもしれません。しかしながらここで紹介しているのはあくまで「実装」であって、それが実際にどのような形で運用されているかを紹介することは出来ません。(そういった方に例え話が通用するのであれば苦労しませんが)例えて言うのならば「Windowsに乗っている機能の説明はいいから、それを使っている人がどんな性格かを教えてくれ!」と言っているようなもので、Windowsを使っている人々が多種多様であるのと同様に分散型SNSのサーバー・住人も十人十色です。そのためどの実装にするのかはあまり重要ではなく、遠目で眺めてみて面白そうな空気のあるサーバーにアカウントを作ればいいかなと思っています。万が一空気が合わなくとも一部実装には「引っ越し機能」が存在しており、場合によっては別のサーバーへ移住することも可能です。楽しそう。

最後に

以上簡単に分散型SNSについて紹介させていただきました。私を含めて大半の人々は(SNSは人間がいないと面白くないので)Twitterに限界まで居座るかと思いますが、万が一本当に大変になった場合の参考になれば幸いです。

Writer

Osumi Akari