世界ジオパーク(World GeoPark)はUNESCOに認定された、国際的に価値の高いジオパークのことです。元々はUNESCOと関係がありながらも一応別団体であった世界ジオパークネットワークが認定していたものですが、2015年の第38回UNESCO総会によって、UNESCOの公式事業となったものです。
日本においてはこの記事を書いている現在、洞爺湖有珠山・糸魚川・島原半島・山陰海岸・室戸・隠岐・阿蘇・アポイ岳・伊豆半島・白山手取川の10箇所があります。もちろん海外にもちゃんと世界ジオパークが存在しており、海外の「地球科学っぽい何か」を想像した場合、だいたい何かが引っ掛かるかと思います。この度朝鮮半島の北部にある「 白頭山 」が登録されたらしいので、それに関する諸々を見ていきたいかと思います。
結論
- 白頭山地域が世界ジオパークに認定された
- 2024年には中国サイドがジオパークに認定されている
- 普通に質は高い
白頭山(Mt. Paektu)
白頭山は朝鮮半島の北部、朝鮮半島の付け根と言っていいような場所に存在する火山で、別名を長白山と言います。近年にも活発な活動が見られており、946年にはVEI-7(富士山の宝永噴火がVEI-5)の噴火が発生したことで知られています。日本においても火山灰が様々な場所で観測されています。
白頭山地域
では今回の推薦文書及び議論結果を読んでいきましょう。この白頭山についての記載はPDFの11ページから始まっています。
今回のジオパークの申請においては、当然ながら白頭山の地域を曖昧に指定している訳ではなく、41°34’03” -42°01’40” N 128°02’31” -128°39’05” Eの範囲内の1326.1平方キロメートルが指定されているとのことです。この地域は白頭山(Mt. Paektu)から北胞胎山(Mt. Pukphotae)のラインで二分されるとのこと。この地域の重要なものとしては、モレーンなどの氷河地形や火山泥流などの火山砕屑物が保存されていることが挙げられています。また、本文中においてはジオパークで重要視されがちな白頭山地域の持続的発展の存在についても言及されています。
議論結果
議論結果としては世界ジオパークとしての質は高いとのことで、世界ジオパークとして認定するには十分であるとのことです。しかしながら2024年に認定された中国の长白山火山国家地质公园と明らかに隣接していることから、これとの連携について議論されています。結果として国境を越えたジオパークにするべきか否かはジオパーク協議会の持つべきものを越えているとされ、可能な限り協力することを推奨する、ということについての合意がとられています。また管理職に女性を入れることや、今後の保全計画の不足などについての言及が行われています。
これらの議論を基に2025年4月2日から17日に開催された第221回UNESCO執行委員会で世界ジオパークの議題が扱われ、白頭山地域が世界ジオパークに認定されたとのことです。
関連リンク
- UNESCO Global Geoparks Council, 9th session: report
- Nominations of new UNESCO Global Geoparks
- N. Korea’s Mount Paekdu Designated as UNESCO Global Geopark
最後に
そもそも日本語でこの事象を扱っている記事が少なく、なおかつ原典(?)を辿っている記事が無さそうなので簡単に書いてみました。普通に色々気になるので行ってみたい気持ちも無いと言えば嘘になる気はするのですが、めちゃくちゃ寒いのと微妙に日本から行きづらいので箱根と富士山で我慢しておくことにします。
白頭山の何かに興味がある人の参考になれば幸いです。