この記事のタイトルでもある「風化穴」というネーミングからすると、「風化によって出来る穴一般を指す名称」と考えてしまいがちです。しかしながらそうではありません。風化穴とは主に岩塊において形成される直径数メートル、深さもメートル級の穴のことを指すものです。
今回はそのような「風化穴(weathering pit)」、別名「ナマ(gnamma)」についてざっくりと見ていこうかと思います。
結論
- 岩山や岩塊に出来る穴
- それなりにデカい
- 雷がきっかけの可能性
岩に出来るデカい穴
前文にほとんど定義を書いてしまったためここに書くことが無くて困っているのですが、頑張って書こうと思います。風化の記事で示した通り、風化は様々な場所で発生しますが、岩塊の頂上にある小さな穴でも風化は発生します。小さな穴に塩化ナトリウムに限らず、空気の流れによって運ばれてきた火山ガスなどに含まれている硫黄などがそういった穴で結晶化し、それが岩石を破壊してしまうということを繰り返す物理的風化が発生します。破壊のワンサイクル自体はそこまで大規模なものではありませんが、そのサイクルが繰り返されることによってその小さな穴は徐々に大きくなっていき、前文に書いたような大きなサイズの穴になることがあります。そのような穴が「風化穴」です。(中身が無さすぎる)
ちなみにオーストラリアの乾燥地帯においては、ナマに溜まった水がアボリジニの人々やその家畜の重要な飲み水になっていたという記録が存在しています。貴重な水だったようで、その水の利用についての争いまで記録されてしまっています。
雷と風化
さて上記では風化の進行についてはタフォニと同様に塩類が関係しているということを書かせていただきました。しかしながら風化穴の特徴的な点としては塩類が溜まるような小さな穴がある前提で話が進んでいるというものがあります。すなわち何かしらの理由で小さな穴が空いていないと風化穴は形成されないのですが、その小さな穴はどのようにして形成されたのでしょうか。
人間からすればかなりの時間が風化穴の形成に必要とされるので明確な原因は明らかになっていないのですが、原因として挙げられているもの一つに「落雷」があります。落雷というのは当然ながら岩石に落ちた場合でも相応のエネルギーを岩石に与えます。そのことによって岩石が破壊されたり、クラックが形成されるといったことがあります。このようなクラックから塩類風化が進んだという説があります。個人的には半信半疑なのですが、それなりに説得力があるとは感じていますので、今後の研究を見守っていきましょう。
参考文献
- 松倉公憲「地形学」朝倉書店、東京、2021年9月1日。ISBN 978-4-254-16077-2。 NCID BC09567566。OCLC 1268511660。国立国会図書館書誌ID:031624974 全国書誌番号:23586669。
- "Gnamma Holes" Western Australian Museum.
- Yokoyama, Shozo "Lightning Strike as a Trigger in the Formation of Weathering Pits" 地形 34(4), pp.303-311, NAID: 110009661939.
最後に
書くことが前回のタフォニと大して変わらないのでものすごく短い記事になってしまって涙が止まりません。悲しい。そして深夜2時に書くと眠い。
また文献量がタフォニとは比較にならないくらい少なかったので書いていてちょっとしんどくなってきてしまったので、この記事を読んでいる風化穴に詳しい方はぜひ解説記事を書いていただけると幸いです。