特に乾燥地帯においては、カチッとした岩塊の上に溝が刻まれていることがあります。これを一般に「リル(rill)」と言います。今回はそのようなリルの内風化に強く関係あるものについてある程度ざっくりと見ていこうかと思います。
結論
- リルそのものは「細長い溝」といった意味
- 別名「グルーブ」「フルート」「偽カレン」
- 明確な成因は不明
リル
書き始めてから若干後悔しているのですが、「リル」という言葉自体には「細長い溝」といった意味しかありません。そのため成因を気にせず見た目だけで使われる傾向にあります。この記事ではある程度侵食が進んだ「ガリ」のレベルまでいかない物を扱っていこうかなと思います。
別名多すぎ
結論の所にも書かせていただいたのですが、以前日本語版ウィキペディアに立項した「大気の川」並みに別名が多すぎてびっくりしています。別名は以下のリストに挙げさせていただいたものです。
- グルーブ(groove)
- フルート(flute)
- 偽カレン(pseudokarren)
上二つは「ふ~ん、別名なんだ」で飛ばしていただいていいと思っているのですが、一番下の「偽カレン」についてはある程度説明がいると思うのでちょっと書かせていただきます。地学用語の中にいくつか「偽~」がありますが、「偽」と付くくらいなので基本的に「本物」が存在します。偽カレンの場合は「カレン(karren)」ですね。
このカレンとは石灰岩によって形成されているカルスト台地などで見られるもので、二酸化炭素が溶け込んだ雨水が地表を流れることで重力方向に沿った溝が形成されるものです。ちょっと専門用語を使うと風化作用の中でも化学的風化と強く結びつきのある侵食作用の一つ「溶食」によるという風に表現できると言えます。
この特徴が地面に刻まれた溝にそっくりであるため、石灰岩や溶食が関係ないところでも「偽カレン」と呼ばれてしまう理由の一つだと考えられます。
成因不明
当たり前と言えば当たり前なのですが、成因が様々なのでリルを見たら「これが原因だ!」と言い張ることは極めて難しいと言えます。そのためリルは明確な成因が不明ということにされがちです。とはいえこれで終わるのはさすがに内容が無い記事になってしまうので、風化に関連する形成理由を軽く説明していこうかと思います。
といっても非常にシンプルです。降水が発生すると基本的には重力に沿って水が下へと行こうとします。降った水は自身の近くの落ち込んでいるところに向かって流れ出します。そのためわずかに下へ傾斜しているところや風化がよく進んでいるところに水が集中して流れるといった傾向が生まれます。
当然ながら水が集まるとその分侵食する力は大きくなるので、より深い溝が形成され、また水がそこへ向かって流れるようになるといった、正のフィードバックが発生し溝が成長していきます。つまり地形輪廻の最初の部分がリルを形成すると言えるということですね。
シンプルなので書くことなくなっちゃったなもう。
参考文献
- 松倉公憲「地形学」朝倉書店、東京、2021年9月1日。ISBN 978-4-254-16077-2。 NCID BC09567566。OCLC 1268511660。国立国会図書館書誌ID:031624974 全国書誌番号:23586669。
最後に
「岩の上の溝」、「崖の上のポニョ」に響きが遠すぎることも無いのでタイトルを工夫しようと思いましたがさすがに無理だったので諦めました。またタイトルで30分悩んだせいで文章全体がいつにも増して適当になったという疑惑もあります。悲しいですね。
それはそうとこの辺りで風化に関係する地形でそれなりに有名なものは解説しきったと思っています。そのためそろそろ侵食作用の解説に移ろうかなと考えています。まあもし解説し足りないことが後から出てきたら書くまでですが。