侵食作用について扱った記事においては当たり前のように河川が存在していました。日常の中で「河川の誕生」を見ることはそうそうないかと思うので不自然に思わなかった方がいても不思議ではありません。しかしながら河川というものは無から生まれる物ではありません。降雨によって自然に出来た流れ、その名も「雨裂」もしくは「ガリ」から河川は生まれてきます。
というわけで今回はそのような雨裂・ガリについてざっくり説明していこうかと思います。
結論
- 雨水が集まり流れになる
- 土砂を移動させる
- 河川の赤ちゃん
ガリの定義
といっても今回紹介する雨裂・ガリというのは絶妙に定義が難しいので、最初にある程度の定義を紹介しておこうかと思います。個人的には「降雨によって自然に出来た水の流れによる溝」という定義がしっくりくるのですが、これだと判然としないですから。
地表を流れる雨水の浸食により、軟弱な表層に形成された溝状の地形。
「雨裂」デジタル大辞泉、コトバンクより。
gully, trench cut into land by the erosion of an accelerated stream of water.
Britannica, T. Editors of Encyclopaedia. "gully." Encyclopedia Britannica, August 7, 2009. https://www.britannica.com/science/gully.
一応日本語と英語の辞書・事典を見てみたのですが結局分かりませんね。とはいえ共通部分を抜き出すと「流水によって侵食されて出来た溝」といったものでしょうか。
これだけ読むと皆さんは「谷と何が違うのか?」と疑問をお持ちになられるかと思います。確かに谷というものも「流水によって侵食されて出来た溝」といえるかもしれません。しかしながら谷とガリというのは規模感が大きく異なります。地学用語はある程度体感的な定義がなされていることが多く人によって異なるとは思いますが、ガリというものはメートルクラスから大きくても幅や深さが大きくても十数メートル程なのに対して、谷というものは100メートル以上といったものでしょうか。
またガリというのは地形そのものなので直接的な定義ではありませんが、流水すなわち大半は降雨によって初めて形成されるため、雨が降らないといったことによって水が流れないこと(安定して水が流れるには流域が狭すぎること)が多々あります。そのためまさしくガリという物は「河川の赤ちゃん」と表現することが出来ます。
ガリと土砂
前回の土砂生産についての記事で説明した通り、このようなガリは当然ながら地面を侵食し、ガリの下流へと土砂を運搬します。ガリの土砂運搬能力はそこまで大きくはないですが、土砂の供給に対して効果がないわけではありません。
またこうしたガリは通常地下水面に接してはいないので安定して水が流れることはそこまで多くありません。というより安定して水が流れるような場合はそのまま成長して河川となるかと思います。そのためガリはそのまま涸れ谷を意味することも多く、特にアメリカの乾燥地帯においてはアロヨとしても知られています。
最後に
前回の記事と割と同じことを言っているのでGoogleに「重複コンテンツですよね!!!」とか言われないか大変不安な気持ちで執筆しています。なるべく違うことを書こうと努力はしているのですが難しいですね…