「カルスト」は何者なのか

石灰岩が織りなす美しい場所 / 2022-10-25T00:00:00.000Z

溶食というのは化学的な侵食作用の中でも、地面が水などに溶解することによっておこる侵食を意味する語です。溶食の中でも特に二酸化炭素と石灰岩が起こすものが知られています。そのようにして形成された(侵食作用によるものだけではないのですが)地形のことを特に「カルスト地形」といいます。

というわけで今回は「カルスト地形」の「カルスト」とはどのようなものであるかについてざっくりと説明していこうかと思います。

結論

  1. ヨーロッパにある地域
  2. 石灰岩で出来ている
  3. ここから転じて石灰岩で出来ている地形一般という意味にも

カルスト@スロベニア

スロベニアという国をご存じでしょうか。イタリアとアドリア海を挟んで向かい合っている国です。個人的には「ユーゴスラビアの優等生」とまで呼ばれた工業が盛んな国であり、プラニツァという場所には世界最大のスキージャンプ場があるほど(?)、やたらウィンタースポーツに強い国という印象があります。

地学徒的にも面白いものがスロベニアにはあり、それは「クラス地方(sv: Kras)」という地域です。この地域は主に石灰岩で形成されており、溶食などにより特徴的な景観が生み出されています。

有名なものとしては、溶食が進んでいるため地下水系が発達しており地表にはあまり河川が存在しないため降水量の割には乾燥して見える土地であったり、穴ぼこが要所要所に存在したりといったものです。また以下のようなものもあります。

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上の映像はポストイナ鍾乳洞という鍾乳洞のものです。このような鍾乳洞も含め、石灰岩の溶食に起因する地形・地質構造がスロベニアには広がっています。

カルスト地形

上記のようなクラス地方に存在するものは当たり前と言えば当たり前なのですが、石灰岩が存在する世界中の場所で存在しえます。クラス地方のものと同様の過程で地形が形成されており、それらの地形を一般にクラスのドイツ語読み「カルスト(de: Karst)」から「カルスト地形」と呼びます。代表的な地形としては以下のものがあります。

最後に

教科書で「カルスト」と繰り返される割にはカルストそのものについての説明がなされていないと思って立項しました。決してストックが足りなくなったからではありません。

Writer

Osumi Akari