風でも地面は削られる「風食」について

割と無視できない空気のパワー / 2022-11-09T00:00:00.000Z

侵食作用」と聞いた時、多くの人々は何を思い浮かべるでしょうか。多くの方々はV字谷などを作り出す河川による侵食を思い浮かべるかもしれません。また氷河による「氷食」であったり、物理的な侵食ではありませんが化学的な「溶食」を思い浮かべた方もいるかもしれません。

しかしながらこれ以外にも様々な侵食の形態があります。今回はそのようなもののうち空気による侵食である「風食」についてざっくりと書いていこうかと思います。

結論

  1. 水が無くても削られる
  2. 風による侵食

水が無くても

これまで触れてきた物理的侵食作用は全て水が関係するものでした。極めて抽象的に見るのであれば液体だったり固体だったりが固体である地盤を削っていくものでした。地盤はほとんど固体であることに異論はないと思うので飛ばしますが、「削るもの」は液体や固体だけなのでしょうか。

答えは「いいえ」です。気体によって地盤が削られることもあります。この地球上には様々な期待がありますが、様々な場所にあまねく存在するであろう気体としては空気があります。一般に空気の流れは「風」と呼ばれており、空気の流れによって発生する侵食作用のことはまとめて「風食」と呼ばれています。

風食作用には大きく分けて2種類があり、風そのものによる侵食(デフレーション)と風の中に含まれている固体による侵食(風磨、削磨)の2つがあります。風そのものによる侵食は水や氷による侵食と同じようなイメージで良いかと思います。流れがあるところにはエネルギーがあり、それをもって地盤を削っていくという点は風でも違いはありません。次に風の中に含まれている固体による侵食ですが、これも水や氷による侵食と異なる点はないでしょう。それらの中にも巻き上げられて運搬されている固体によって、歯磨き粉の中にある顆粒と同様に侵食の対象となるものを削っています。しかしながら風食においては風そのものによる侵食が弱いため、これによる侵食がよりよく目に見える形となる傾向があります。

風食地形の例

このようにして出来る地形等として代表的なものに以下の3つがあります。

砂丘というのはイメージが湧きやすいでしょう。砂が十分に供給される場所において風によって侵食されていった砂が1つの場所に集まることによって作り出される地形です。規模感は異なるものの海岸沿いや砂漠に形成されるものが広く知られています。

きのこ岩の例としては以下の写真が分かりやすいでしょう。

Arbol de Piedra

きのこ岩は風の下部に位置しやすい重い粒子が岩石をより強く削ってしまうことによって形成されることがある岩です。上に示した写真のようにまるで天地がひっくり返ったかのような形をしています。

ベンティファクトは風食礫とも呼ばれるもので、きのこ岩と同様に風に含まれてしまっている粒子が礫を侵食することによって生まれる特徴的な形状を持った礫のことです。

最後に

前回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: カルスト地形が水に沈んだ「沈水カルスト」

「風」という言葉の抽象的説明を初めて書いた気がする。

Writer

Osumi Akari