歯磨き粉、この記事を読んでいる皆さんは使っていますか。私は偉いので使っています。歯磨き粉と一口に言っても様々な種類がありますが、その1つに「顆粒」が入っているものがあります。そういったものを使うと歯がより美しくなることになっているので、使う人が後を絶ちません。
さて歯磨き粉という流体に顆粒が含まれているという構造は、空気という流体に砂が含まれているといった構造にそっくりです。実際に風によって発生する侵食作用が強く見られる地域においてはそのような風によって地面が削られていきます。今回はそうして作られる特徴的なもののうち「風食礫(ventifact)」と呼ばれるものについてざっくりと見ていこうかと思います。
結論
- 砂で削る
- 変な形になる
砂の作る礫
まず礫が侵食を受けるということ自体は珍しいことではありません。侵食作用は別に地盤だけにかかるものではないからです。しかし「風食礫」とわざわざ名前が付いているのはなぜでしょうか。それは風食によって削られた礫が特徴的な形状をしているからです。以下の写真を見てください。
この特徴的な形状は、繰り返しになりますが風による侵食作用によって作り出されます。基本的に礫は丸い形をしているのですが、風食を引き起こす風の大半は断続的に同じ方向からやってきます。そのため1つの面が形成されていくのですが、その面が直角に近づいていってしまうと「ゴロン」と転がってしまいます。こうすると断続的に同じ方向からやってくる風は、また新たな面を形成していきしばらくするとまたその礫を転がしていきます。
このようなことを繰り返すことによって画像のような形状の礫を作り出します。特に三つの山が存在するものを特に「三稜石(dreikanter)」と呼びます。日本においては静岡県御前崎市の「白羽の風蝕礫産地(天然記念物)」という場所で見ることが出来たことが知られています。
最後に
風食礫、生まれている現場を目にすることはおろか想像することが難しいのではないかと感じました。そのためか知名度がやたら低い気がします。