よく聞く「砕屑物」って何?

砕屑物は「よく聞くワード(n=1)」 / 2022-11-14T00:00:00.000Z

砕屑物」という単語をよく聞きますよね。え?聞きませんか??本当に聞かないんですか??日常生活で、ですよ????

…そうですか。では砕屑物が何か説明することは出来ますか?

うーん、何々…。理科だったり地学の授業で聞いたことはあるけど何かはよく分かっていないと…。なるほど…。

というわけで今回は地学を学ぶ上でよく聞くが、あまりはっきり説明されないワードの1つである「砕屑物」についてざっくりと説明していこうかと思います。

結論

  1. 削られたもの
  2. 礫・砂・泥などをまとめた用語

砕屑物

結論でほとんど答えは書いており、砕屑物というのは一言でいえば「侵食作用によって出来た土砂」のことなどを指す言葉です。より正確に言えば「岩石が細かくなったもの」です。こう聞くと地学あるあるの、大したことのないワードにわざわざ名前を付ける現象に聞こえるかもしれません。しかしながら砕屑物としてきちんと名前が付いていることで、後述する「礫・砂・泥の集合体」と長々しく呼ぶことを避け、便利に堆積システムを解析する助けになっています。

またこれが堆積した後に形成される堆積岩のことを特に砕屑岩(clastic rock)といい、地層を構成する重要な要素となっています。

「一般的な砕屑物」とテフラ

さて、「砕屑物」と名前の付く用語の1つに「火山砕屑物(テフラ)」というものがあります。これとこのページで主に解説している砕屑物に違いはあるのでしょうか。明確なものではないのですが、無いことは無いといった感じでしょう。

特に名前のついていない通常の(?)砕屑物というものは上に示させていただいた通り「侵食作用によって出来た土砂」を指すことが多いのですが、正確に言えばこれは正しくありません。わざわざ私は「岩石が細かくなったもの」と言い直している通り砕屑物の定義としてはこちらが正しいのですが、一般に見る砕屑物の量は明らかに河川の風化侵食作用由来が多いので「砕屑物」をほぼこれ由来のものを指す言葉として使ってしまっているといった現状があります。

テフラというものは名前の通り「火山由来の砕屑物」を指す言葉です。岩石を細かくした原因が風化侵食ではなく噴火などの火山活動であるため、後述の通り粒径で分類することは可能である(実際に火山灰の定義は礫-砂とリンクしている)ものの、明らかにその性質は異なります。このため火山由来の砕屑物を区別するために「火山砕屑物(テフラ)」といった用語があります。

少しややこしいのですが、混乱を防ぐためにも落ち着いて何度も読み直していただければ幸いです。

砕屑物の分類

以上のように砕屑物というのは極めて広い概念です。生み出されたり運ばれたり堆積したりしている砕屑物は、クッソ大きなものから顕微鏡を用いないと見えないものまであります。これを砕屑物としてひとまとめに扱うのは極めて不便ですし、学術的にも好ましいものではありません。そのため以下の表で示すように、サイズによって分類がなされています。

サイズ名前
2mm~
2mm
1/16mm~2mm
1/16mm
1/256mm~1/16mmシルト
1/256mm
~1/256mm粘土

この分類方法は「ウェントウォース粒度区分(Wentworth's grade scale)」と呼ばれているもので、2のn乗を基準に分類されているということを理解すればそこまで難しいものではないかと思います。礫は2の1乗より大きなもの、砂は2の-4乗より大きくて礫ではないもの、シルトは2の-8乗より多くて以上の2つではないもの、粘土はそれより小さなもの、といった風に表現できます。シルトと粘土は合わせて「泥」と言うことがあります。

堆積したものを分析する際にはこの分類に従って堆積物の内容を分類することがよく行われます。これはイメージが付きやすいかと思いますが、運搬作用の記事で遠回しに触れさせていただいた通り粒径は堆積相を見る上で簡便かつ重要なパラメータです。河原や地層において砕屑物の分類を見ることによって(時間的スケールはそこまで大きくはないですが)現在のみならず過去も、その場所がどのような堆積環境であったかを推し量ることが出来ます。より詳しく分析したい際にはピンポイントな場所で土砂を採取した後持ち帰り、(本当にクッソ疲れる)粒度分析を行うことで淘汰度を見ることもあります。

最後に

次回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: 河床の粒子が動き出すエントレインメント

というわけで砕屑物についてざっくりと説明してみました。説明することが無いようであることから若干分かりづらい部分があるかと思います。しかしながらこれを埋められるレベルの筆力が私にはありません。そのためリンクをポチポチ押していただいて関連する項目の理解を深めていただくことで、結果的に砕屑物そのものの理解を深めていただければ嬉しいと思っています。

前文が完全に質の悪いオフロスキーさんみたいになってしまいました。もっと質の良いオフロスキーさんを目指して頑張りますので、これからも対戦よろしくお願いします。

Writer

Osumi Akari