泥などが浮いて運搬される「浮流」

砕屑物もプカプカ浮かぶよ流れの中で / 2022-11-22T00:00:00.000Z

前回の記事においては流体の流れの中における「掃流」に関する話をさせていただきました。これは運搬作用の内河床などの壁に近しい場所で発生するもので、基本的に運搬される砕屑物はそこから離れることがありませんでした。しかしながら砕屑物が運ばれるのは果たして河床などの近辺だけなのでしょうか。

そんなことはありません。川の流れの中などをまるでプカプカ浮くように運ばれるようなものもあります。今回はそのような運搬作用の一形態「浮流」についてざっくりと見ていきたいかと思います。

結論

  1. 文字通り浮いて運ばれる
  2. 細かめの砕屑物
  3. 乱流の強さにより浮遊するものの顔ぶれが変化

運ばれること

この辺りはネーミングが素直なので本当に書くことが無く、「浮流」というのは文字通り流れの中に浮いている。唯一紛らわしいのは流れそのものを指すというよりも。運搬作用の一形態としての名前であるということでしょうか。

これは掃流における問題と同じことで、浮流もそして次回の記事で解説させていただく溶流も、流れそのものを指すことはあまりなく運搬作用の形の一つであることを強調させてください。めちゃくちゃ紛らわしいので。

浮流

さて浮流というのは河床などを転がったりして流れる掃流と対になる概念と思っていただいても大きな問題はないかと思います。問題になるとすればどのように対になるかということでしょう。ここで対立する概念は粒径です。詳しくは掃流の記事を参照していただきたいのですが、転動・滑動・跳動そのいずれもある程度の粒径を持つものについて考えたものです。しかしながら砕屑物というのは礫・砂・泥という代表的な3種類がある通り、大きなものから小さなものまであります。掃流で運ばれるような小さなものである砂や泥が全くないわけではありませんが、砂や泥が河床の近くを滑るように運搬されていくならいざ知らず、河床をゴロゴロ回りながら下流へ行ったりぴょんぴょん跳ねるようにして時々河床へぶつかったりしながら運搬されるでしょうか。

ある程度の勢いがあるのならば、小さなものその流れの中でそのまま運搬されていくとそう考えたほうが自然でしょう。これが今回扱う浮流にあたるものです。ここまで説明させていただいた通り物理的な侵食作用に由来するもののうち比較的粒径の小さなものがこれで運ばれます。一般的には砂というよりも泥と呼ばれるもの、より専門的にはシルトや粘土がこのような形で運ばれます。

ちなみにですが浮流によって運搬されている状態の砕屑物は浮遊土砂と呼ばれます。また層流ではなく乱流であればあるほど沈降プロセスが発生しずらくなるため、より大きな粒子が浮流によって運搬されずらくなるという傾向が存在します。

最後に

というわけで前回の記事と合わせて物理的な侵食作用・運搬作用についてざっくりと解説させていただきました。ものすごく地味に見える運搬作用ですが、その面白みを感じていただければ幸いです。

Writer

Osumi Akari