11月13日に出した記事から今まで運搬作用についてずっと見てきました。運搬作用の概要から始まり、その具体的な始まり方やその経過について触れてきたかと思います。しかし「運搬」という言葉から分かる通り、この作用には終わりが存在します。始まる条件ですら様々なものがあったことから、終わる条件もそこまでシンプルではないと考える人もいるかもしれません。
というわけで今回は運搬作用の「終わり」と言える「沈降」という現象についてざっくりと見ていきたいと思います。といってもあまりに自明すぎることなのでスッカスカの記事ですが。
結論
- 運搬作用の「終わり」
- 堆積作用の「始まり」
終わりであり始まりであり
運搬作用が始まることを「エントレインメント」と言います。これは初動条件を満たした砕屑物が荷重となって運ばれ始めるといったことを指します。では運搬作用が終わることを何と表現するでしょうか。それはタイトルの通り「沈降」です。
上記の画像では運搬作用の各部を大まかに示しています。繰り返しになりますがエントレインメントから始まり、掃流・浮流・溶流といった形で運ばれ、この記事でざっくりと解説する沈降で終わりを告げます。どのような場面で沈降するのかは以下のユールストロームダイアグラムが分かりやすいものでしょう。
ここで問題になるのはなぜ沈降するようになるのかという点です。無限の長さの河川が単に同じ速度で流れているという理想的な状況を考えれば、いつまでたっても沈降は始まりそうにありません。しかしながら実際の河川は有限の長さであり流速も場所によって大きく変化しています。そのため流速が落ちてしまい、運搬されている間に粒径そのものは大きく変化しないことが多いことから、ユールストロームダイアグラム上で「運搬」だったものが「堆積」になってしまうことがあります。これが沈降する原因です。
そしてこの沈降というのは(ある程度自明ではありますが)堆積作用の始まりとなっています。もちろん沈降が起こっているからと言って侵食が止まっているわけではないので一義的に言えるものではありませんが、一般的に沈降をメインで考え出すような場所は堆積作用を意識せざるを得ないレベルで堆積作用が強くなってきていることを表しています。そのためあまり注目されづらいユールストロームダイアグラムの2本目の曲線は正確なものとはいえませんが、この線を越えた時に河川の三作用の最後の物へ足を踏み入れたのだなと感じるロマンチックラインだと思っています。
最後に
- 前回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: 運搬される砕屑物と河川の流量はリンクする?
- 次回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: ざっくりわかる堆積作用
「運搬の終わりであり堆積の始まりである」。どこか詩的な表情があると感じるのは私だけでしょうか。
恐らく私だけなのでこの感動を共有したい。その気持ちだけを書くために、このゴミ記事を生みました。