本当に扇の形をしている扇状地

英語ですら「fan」と呼んでいる / 2022-12-05T00:00:00.000Z

日本の学校教育を受けたことのある人であったら一度は聞いたことのあるワードであろう「扇状地」。社会科でも理科でも扱われていますが、それはいったいどのようなものなのでしょうか。

今回はそのような「扇状地」をざっくりと見ていこうかと思います。

結論

  1. 緩くなったところに作られる
  2. 水はけが良いことが多い

谷の出口に

前回の記事で私は長々とどのような場所に堆積が発生するのかについて書かせていただきました。要するにストリームパワーが弱まったらば発生しやすくなり、これには流量が変化するか流速が変化すること、その多くは水深/水量の変化か河床勾配の変化であることを示させていただきました。

さて侵食作用によってV字谷などといった河谷が形成された際、そこに出来る傾斜は概して急なものになりがちです。というよりV字谷のような急激な谷が形成されるほど強い侵食作用が当たる先として地面があったという捉え方の方が感覚的に近しいものでしょう。強い侵食が起こるということはそれだけの土砂が運搬されるということを示しています。では運搬された砕屑物はどこへ向かっていくのでしょう。

もちろん下流に向かっていくのですが、その過程において運搬されなくなってしまい堆積してしまうといった現象が発生します。その大きな要因として河床勾配の急速な変化というものがあります。削るものが無くなってしまったため上記のような急な勾配を取れなくなってしまうと堆積しやすくなってしまいます。そのことからV字谷の出口付近において砕屑物が堆積するという現象が起こります。この結果作り出されるものが「扇状地」です。

扇というものを見たことがある方は分かるかと思いますが、扇は要という部品でまとめられており、そこから骨が伸びているといった構造となっています。この要というものをV字谷の出口と見なすと、扇状地というものは似たような構造をしています。その一点を発端として、砕屑物が積もりに積もった結果上記のようになったというイメージが良いものでしょう。そのため扇状地という名前が付けられていると考えられています。

また砕屑物の中において、同じ流速の中でも堆積しやすさが異なります。一般的には粒径の大きいものほど堆積しやすいと考えられています。そのため扇状地においては粒径の大きい礫などが多く見られるといった特徴もあります。

具体例

このような扇状地の具体例として山梨県甲州市にある釈迦堂付近のものがよく知られています。このように言われても分からないかもしれませんが、教科書や資料集などでよく出てくる、下の方に高速道路が通っている扇状地です。

このような場所においては水はけがいい、言い換えれば水持ちが悪いといえ、水は上流から豊かにやってくるように見えるものの実際に活用することは難しいものとなってしまいます。中には水の大半が一旦地中へと浸みこんでしまうといったこともあり、その場合は伏流水/地下水が豊かな水系が形成されます。

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最後に

NHK教育の番組のような前文にしてみましたが、導入がめちゃくちゃ楽ですねこれ。多分今後もこのスタイルを多用する気がしています。また前回の記事で書かせていただいた通り執筆タイミングが内臓のスケジュールと極めて相性が悪いものでしたので中身がスッカスカになってしまっていますね。どこかで挽回したい気持ちはあります。

Writer

Osumi Akari