「デルタ」というギリシャ文字をご存じですか。ある人にとっては生活の必需品、とある人によっては忌々しい学生時代の記憶を思い起こさせる文字かもしれません。
というわけで今回は「三角州(delta)」についてざっくり説明していこうかと思います。
結論
- 河口近くに出来る三角形状の堆積地形
- 意外といろいろな形状がある
形成
河川が流れていくと砕屑物を運搬し、上流から下流へ土砂が運ばれていきます。運搬されたものが全て海へと注ぎ込むというわけではなく、河川が流れている場所やその周辺に堆積するといったことが起こります。その結果、扇状地や沖積平野というひねりの無い名前の土地が形成されます。今回紹介させていただく「三角州」は先述の物よりも下流、河口近辺に形成されることの多いものです。
河口に近づくと河床の傾きはかなり緩やかになってしまい、河川の流速が遅くなることから堆積がより進んでいきます。その結果河川の流れを大きく阻害してしまうレベルで中洲が形成されると河川は分かれてしまい2つの相対的に小さな流れとなってしまうこともあります。そのようにして三角州は作られていきます。
一般に三角州は「陸上デルタ」と「水中デルタ」と呼ばれる部分で構成されています。これは名前の通り水の上にあるのか下にあるのかの区別なのですが、地形輪廻の記事で示させていただいた通り基本的に
- 水の上にある時は削られ、
- 水の下にある時は積もる。
という動きがありますので、若干異なる堆積過程を経ることが知られています。詳しくは「次回の三角州の内部構造」をご覧ください。
形状
概要の説明が長くなってしまいましたが、次は三角州の形状について解説させていただこうかと思います。三角州と呼ばれるものには様々な形状があり、その中には「三角州」という言葉からイメージが付きづらいものもあります。どのようなものがあるかについて簡単に見ていきましょう。
三角州の形状は主に河川が運搬してくる砕屑物・波の力・潮汐の力の3つの要素によって決まることが知られています。ややこしいのであまり明確な形で文章に反映こそしていませんが、この3つの要素が見え隠れしていることを思い出していただくと面白いかと思います。
代表的な分類には上の画像に示した3種類が挙げられます。左から「円弧状三角州」・「鳥趾状三角州」・「尖状三角州」を示しています。それぞれ詳しく見ていきましょう。ちなみにここで紹介できていない三角州としては、直線状三角州や湾入状三角州があります。
円弧状三角州
円弧状三角州は、河川から供給される砕屑物の量と海の潮流によって再び侵食される砕屑物の量が釣り合っている際に形成されるものです。円弧状という言葉こそついていますが、「三角州」という言葉を聞いた時にイメージしやすいものとなっています。
鳥趾状三角州
「鳥趾(ちょうし)」という言葉になじみがないかもしれませんが、要するに鳥のつま先のことです。
上の画像は1745年の本から引っ張ってきた絵ですが、鳥のつま先は一つの場所から複数の場所へと延びるような形状をしています。鳥趾状三角州は砕屑物が大量に供給されるのに対し潮流による侵食があまりに弱いような場所で形成される傾向にあり、有名なものとしてミシシッピ川の河口に見られるものが上げられます。
尖状三角州
尖状三角州(せんじょうさんかくす)は上記の鳥趾状三角州とは反対に、潮流が強い場所で形成されることが知られています。河口近くの場所が一番尖っていますが、新規に砕屑物が供給されづらい場所においてはどんどん削られるため河口の部分が余計に出ているような見た目をしています。代表的な場所としてはローマ郊外のテヴェレ川の三角州が知られています。
最後に
前回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: そんなに高くない自然堤防
クリスマスの日を睡眠時間として消化した結果、14時間ほど惰眠をむさぼってしまったのでこの記事を出すのが遅れてしまいました。どうせ相手がいないのならばPCと一緒に過ごす方が良かった気がしています。25日中に出せばいいやと思っていたのですが、結局26日の5時に出してしまいました。健康的な生活リズム。