前回までで代表的な三角州の形状3種類について大まかに説明させていただきました。円弧状三角州・鳥趾状三角州・尖状三角州の3種類です。しかしながら世の中の三角州全てがこの3種類に収まるわけではありません。
今回はそのような三角州の内、直線状三角州についてざっくり説明していこうかと思います。
結論
- 真っすぐな海岸線がある三角州
- 波や潮汐の力が強い
直線状三角州
直線状三角州はどのような三角州かと聞かれれば説明に困るのですが、「真っすぐな海岸線が見られる三角州」といえば間違いではないと思っています。三角州は河川が運搬してくる砕屑物・波の力・潮汐の力の3つの要素にその形状が影響されるのですが、結果として真っすぐな海岸線が形成されるものとして2つのパターンがあり、そういった場所において形成される三角州のことをまとめて直線状三角州と呼んでいます。
2つのパターンとしては、波の力が強い場所・潮汐の力がそれなりに強い場所の2つが挙げられます。初めの波の力が強いということについては想像しやすいものかと思います。波の力が強いということは、形成されつつある三角州が同じような力で侵食されていっていると見なすことが出来るため、真っすぐな海岸線を持つ三角州となります。次の潮汐の力がそれなりに強い場所というのも理論的には似たようなものですが、潮汐の力は周期的に発生する侵食である言えます。この力があまりに強いと三角州と言っても内側に削られているような「湾入状三角州」が形成されることで知られています。
実例
例としてはショールヘブン川(Shoalhaven river)河口の三角州があります。
これはオーストラリアのシドニー南郊にある河川で、そこまで河川の長さや砕屑物の量が飛びぬけて大きい河川ではありません。しかしながら波の力が強大であるため直線状三角州が形成されています。ある程度整備がなされているためその形状は若干分かりづらいものとなっていますが、円弧状三角州とも湾入状三角州とも言えない形状となっています。また潮汐の力が大きいものとしてはガンジス川の三角州が知られています。
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ショールヘブン川と規模感が大きく異なるため並べていいのかはよく分かりませんが、ガンジス川の河口の三角州はそれなりに砕屑物があるものの、これは似たような標高で砕屑物が広範囲に堆積していると見なすことも出来ます。そのため潮汐の力による侵食の影響が大きくなる傾向が見られ、直線状三角州が形成されています。
最後に
次回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: 湾入状三角州という微妙な存在感の三角州
マイナーな三角州な上、円弧状三角州と何が違うのかよく分からないと思う形状だと感じるかもしれません。しかしながらその感情は私も執筆しながら思ったので大きな問題とはならないと思います。知りませんが。