2個前の記事においては海底にも扇状地が存在したというお話をさせていただきました。というわけで今回はその例の1つである「 ベンガル海底扇状地 」についてざっくりと紹介してみたいかと思います。
結論
- ガンジス川の河口に発するクソデカ海底扇状地
- 世界最大級のサイズ
Bengal Fan
2個前の記事の振り返りとなってしまいますが、扇状地と呼ばれるものは海底にも存在することが知られています。これには小さなものから大きなものまで様々なものが存在しますが、世界最大規模のものがインド洋のインドの東部に存在しており、それは「Bengal Fan」、日本語ですとベンガル海底扇状地・ベンガル深海扇状地と呼ばれています。
NOAAのETOPO由来のデータから海底地形図を作ってみたのですが、そんなに扇状地然としていない気がすると思います。これにはいくつか理由が考えられますが、まずベンガル湾の海底測量が詳細に行われていないことが挙げられます。ETOPOは人工衛星による測量を基本にしつつ船舶による測量データを取り込んでいるのですが、船舶測量による補正が存在しないため正確性が落ちてしまっているということが考えられます。次に海底扇状地の形成期間が極めて長く二重の扇状地になっているという(西側にある方が新しいとされている)点も挙げられます。また末端が明瞭ではなく海底扇状地外とスムーズに連続していることが読み取れます。
それでも薄っすら読み取れるこの海底扇状地は世界最大級の物で、地図に写りこんでいるスリランカと比べてみてもその大きさが分かるかと思います。この海底扇状地はクソデカいだけではなく様々な特徴を持っていることが知られます。というわけでいくつか紹介していこうかと思います。
海底扇状地内の地形
地上における扇状地と同じように海底扇状地の内部にも特徴的な地形が存在します。ベンガル海底扇状地があまりにクソデカであるので全貌は分かっていませんが、大きいからこそ多様な海底地形が見られると考えられています。
ヒマラヤの香り
ガンジス川の上流には「世界の屋根」として知られるヒマラヤ山脈が存在していることが知られています。そのためそこから出てきた砕屑物を解析することで、遠回しではあるものの既に侵食されてしまったヒマラヤ山脈の地質やその変遷を追うことが出来ることが可能です。
外部リンク
- "ETOPO Global Relief Model" NOAA.
- 徳山英一、望月公広、KYAW THU Moe、池俊宏「ベンガル深海扇状地に発達する海底河川地形」『地球惑星科学関連学会合同大会予稿集』2001年、GEOLIS: 200105027。
- 「地学研究部」国立科学博物館。
- 「国際深海科学掘削計画(IODP)第354次研究航海の開始について」海洋研究開発機構、2015年1月23日。
- Roonwal, G.S., Glasby, G.P., Chugh, R. "Mineralogy and geochemistry of surface sediments from the Bengal Fan, Indian Ocean" Journal of Asian earth sciences, 15(1) pp.33-41, 1997, ISSN: 1367-9120, DOI: 10.1016/S0743-9547(96)00078-5.
- Subrahmanyam, V. & K.s, Krishna & Ramana, Mangipudi & Murthy, K. S. R. "Marine geophysical investigations across the submarine canyon (Swatch-of-No-Ground), northern Bay of Bengal" Current science, 94(4), pp.507-513, 2008-02-25. ISSN: 0011-3879.
最後に
前回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: 海底にも扇状地はあるという
海底扇状地の記事単体で説明すると長くなりそうだったので別記事にしてみました。ただこの記事がかなり短くなってしまったんですよね…。残念です。